2010年、原水禁大会、声明申し入れ、被爆65周年原水禁世界大会
被爆65周年原水爆禁止世界大会・大会宣言
2010年08月09日
被爆65周年原水爆禁止世界大会
被爆から65年、世界にはいまなお2万発を超える核兵器が存在し、核兵器保有国は米・露・英・仏・中から、インドやパキスタン、イスラエルを加え8ヵ国に拡がり、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核実験やイランの核開発疑惑など核拡散の動きも止まっていません。加えて、ブッシュ前政権のもとアメリカの単独行動主義によって核拡散防止条約(NPT)体制はほとんど破綻に瀕しました。
これに対して、平和市長会議の「2020ビジョン」や「核兵器廃絶1000万署名」をはじめとして、核兵器保有国の核大幅削減や包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効などを求める世界的なとりくみをすすめました。そして「核兵器なき世界」を表明したオバマ大統領によるアメリカの方針転換と結びつき、5月の再検討会議でNPT体制を再生させました。最終文書では、核廃絶の行程表や期限設定がないなどの不十分さはあるものの、核兵器廃絶への展望を開きました。その後、8月6日の広島市の平和祈念式典にパン・ギムン国連事務総長やルース米駐日大使が初めて出席し、パン事務総長が「被爆者が生きている間に核兵器なき世界を」と演説し、核兵器禁止条約の制定を訴えたことは大きな前進です。
こうしたなか、私たちは広島・長崎の大会で被爆国日本の果たすべき責務を改めて確認しました。
日本政府は長年、核兵器廃絶を訴えながら、数多くの矛盾した政策も継続し、昨年秋に誕生した新政権もほとんど政策転換していません。
その一つが、日米安全保障条約のもとアメリカの「核の傘」への依存です。新政権は、沖縄返還交渉時の核密約公開など積極的側面も示しましたが、最近では、あろうことか非核三原則の見直しに言及するなど、被爆国の責務を放棄するものにほかなりません。
日米安保条約改定から50年を経て、原子力空母の横須賀母港化、全国各地の米軍再編、それに連動したミサイル防衛(MD)などをすすめ、東北アジアの緊張を高め、沖縄県民をはじめとして住民への負担と犠牲を強めるばかりです。私たちは、国内外のNGOや市民と連携して安全保障のあり方の転換を訴えます。北朝鮮に対しては核開発の放棄と六ヵ国協議への復帰を求めるとともに、日本政府に対して平和的対話への転換を強く求めます。「核兵器を作らず、持たず、持ち込ませず」の非核三原則を明記した非核法を一日も早く制定し、東北アジアの非核地帯化に向けてとりくみを強化しましょう。
危険なもんじゅ再稼働、プルサーマル運転開始などを次々と強行し、六ヶ所再処理工場稼働に向けた動きも続いています。日本の再処理施設・高速増殖炉などのプルトニウム利用政策は、世界の核拡散に道を開きかねません。柏崎・刈羽原子力発電所を襲った中越沖地震は、「原発震災」の危険性を示しました。プルトニウム利用政策や老朽原発などの危険な原子力施設の稼動を即時停止し、再生可能な自然エネルギーによる脱原発社会をめざしましょう。
日本政府は、温暖化対策の名のもとに新規原発建設や原発輸出の促進を打ち出しているのに加えて、6月末から日本政府は、条約や国連決議で禁じられているNPT非加盟国のインドとの原子力協定の締結に向けた交渉を開始しました。核拡散と核軍拡につながる協定締結を破棄させましょう。
ヒバクシャをめぐる課題は、いまも、被爆体験者、被爆二世・三世、在外被爆者、原爆症認定など残されたままです。被爆者が高齢化するなかで根本的な解決は急務です。昨年8月6日、ようやく政府は被爆者団体と集団訴訟原告の救済を合意しましたが、未だに認定を待つ8,000人をはじめ、支援を求める多くの被爆者が残されたままです。国交のない在朝被爆者はまったく放置されています。被爆二世・三世や被爆体験者については、支援の充実とあわせて、被爆者援護法の対象とすること、日本の戦争責任と戦後補償の問題として国家補償を明記する改正を求めましょう。
私たちは、核被害を根絶するため、世界のヒバクシャと連帯し「核と人類は共存できない」ことを明らかにするとともに、暴力と殺りくが繰り返される世界を変え、対話と共存を基本にした「核も戦争もない21世紀」を実現し、子どもたちに贈るとりくみを全力ですすめます。
被爆65周年の大会に参加した総意として、私たちはあらためて内外に宣言します。
ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ、ノーモア・ヒバクシャ、ノーモア・チェルノブイリ、ノーモア・ウォー!