止めよう再処理!共同行動ニュース1/26号記事から
2011年01月26日
もんじゅは1日5500万円の浪費
消費税値上げよりも莫大なムダ 原子力予算を見直せ!
1月24日、第177通常国会が始まりました。その冒頭で菅直人首相の施政方針演説がなされました。その中で菅首相は、社会保障の充実などによる「最小不幸社会の実現」として、その財源をこれまでの「事業仕分け」などでの財源確保は「限界」と認め、「国民にある程度の負担をお願いすることは避けられない」とし、消費税を含む税制抜本改革をすることを表明しました。またもや国政の失敗のツケを国民に回そうとするものです。しかし、「事業仕分け」は本当に「限界」なのでしょうか。
こと原子力の分野では、相変わらず莫大な国費の垂れ流しが続いています。
現在の日本の原子力政策の基本は、原発で使い終わった核燃料を全て再処理し、ウランとプルトニウムを取り出して、もう一度原発や高速増殖炉で使用しようとする計画です。しかし、これらの計画の中核を担う「六ヶ所再処理工場」や「もんじゅ」(原型炉/*まだ商業用の高速増殖炉はどこにもありません)は、相次ぐトラブルで止まったままです。六ヶ所再処理工場は、高レベル放射性廃棄物のガラス固化施設のトラブルで、工場の完成が18回も延期され、2012年10月完工としていますが、作業が遅れ、さらに大幅な延期が余儀なくされる可能性が大となっています。さらにもんじゅも、95年12月のナトリウム漏洩火災事故以来、14年5ヵ月振りに昨年5月に稼働再開となりましたが、8月に炉内中継装置の落下事故によってこれまた停止を余儀なくされました。再開にはこれも2012年8月とされていますが、現在も炉内中継装置の引き抜きや炉内損傷の検査など課題が山積し、予定通りうまく進むことは考えられず、さらに延期が予想されています。
相次ぐ事故によって、多額の資金が費やされています。六ヶ所再処理工場は、当初、完成時期は1997年とされていましたが、これが現在でも完成しないばかりか、完成時期もさらに延びることによって、当初7600億円の予算が、すでに3倍の2兆1千億円を超え、まだまだ経費がかかることが明らかなっています。その負担は、全て私たちの電力料金に転嫁されています。もんじゅは、すでに1兆円もの国費が投入されても完成していません。さらに今回の延期で1日5500万円も維持費がかかっています。年間200億円以上もの国費が浪費されています。こんなムダが続いていますが、誰もその責任をとろうとしていません。人の金(国民の金)だから、企業や政府にとっては、電力料金や税金に転嫁すれば済むとしているのかもしれませんが、一方で今回の税制改革によって大幅な国民負担増をしようとしていることは許せません。
再処理やもんじゅといった核燃料サイクル路線は、相次ぐトラブルや莫大な費用、存在意義、危険性などによって破綻は明らかになっています。これ以上破綻の上塗りを続けることは明らかに間違いです。不確定な費用がますます膨らむ原子力政策の転換がいま求められています。