2011年、分科会報告、原水禁大会
【66大会・報告】広島第5分科会/「ヒバクシャを生まない世界に2(交流・討論編)
2011年08月05日
「ヒバクシャを生まない世界に2(交流・討論編)~原爆訴訟・在外被爆者と被爆者援護法」はワークピア広島3階「楓」において、参加者59人、内初参加者は32人で開催された。
この分科会は、広島・長崎の原爆被害者は、高齢化し原爆後障害で苦しみ続けている人々今なお多くいるが、被爆体験者・在外被爆者・被爆二世・三世などの残された課題への理解と解決に向けた取り組みに対する運動・連帯につなげる目的で開催された。
二人の講師からは、1.原爆被害者の現状、2.原爆症認定制度と原爆認定訴訟について、3.認定に係る被爆地認定の是正、4、在外被爆者問題の現状と課題、5、被爆二世・三世問題などについて、自身の体験を交えて講演が行われた。
被爆者援護についてはこれまで国策としての「核の平和利用=原発推進」の観点から、原爆被害が過小評価された。そのことによって放射能被害の重大さを抑制する観点から、被爆者認定数を少なくする政策がとられてきた。具体的には、原爆体験者が爆心地からの距離のみで、医療費補助について一定の措置が取られた。
しかし、多くの「原爆症集団訴訟」を経て、一定の拡大が図られてきたが、今なお認定を受けられない多くの人々が存在しており、司法の解決の前に政治的な解決が求められている。また、福島原発事故により状況が変わろうとしている。今回の事故により内部被ばく問題は、国としても見過ごせない課題となった。今も様々な健康被害を被ってきた被爆体験者が、認定を求めて提訴を行ってきているが、このことは将来福島原発事故による健康被害に通じるものがあることが報告された。
つづいて、在外被爆者についてであるが、在外は外国人という意味ではない、戦後南米などに移住された方も含むということを忘れてはならない。「被爆者はどこにいても被爆者」であり、実効性のある被爆者援護法が必要である。また、国交のない国に住む在外被爆者に対する救済についても求められる。
参加者からは、福島原発事故における被曝者救済に向けた対策や二世・三世問題に対して質問などが出されたが、時間上の都合から議論が深まるまでは論議できなかった。しかし、参加者の想いは「新しい被爆者を生まない、被爆された方への手厚い援助が必要である」。また、すべての被爆者と連帯していくことが必要であることを確認し閉会した。