関西電力が大飯原発敷地内の破水帯は、活断層でないとする従来評価を覆すデータはないとの調査中間報告。
2012年10月31日
2012年10月24日
大間原発の建設を中止しろ!
野田政権は、福島原発事故や脱原発の世論に押され革新的エネルギー・環境戦略を打ち出し、2030年代には「原発稼働ゼロ」を掲げました。しかしその一方で、核燃料サイクル議論は先送りし、大間原発や東通原発、島根原発の建設を容認しています。新戦略の方針と明らかに矛盾した対応をしています。
問題だらけの大間原発
特に大間原発は、プルトニウムを原材料としたMOX燃料を全炉心に使う(フルMOX)、これまでにない改良型沸騰水型の原発です。大間原発は、その周辺や敷地内に複数の活断層が存在する可能性が専門家から指摘されています。また、世界に例のないプルトニウムをフルMOX燃料として使うことにより、通常の原発より安全余裕を縮め、事故時の被害がより深刻になることが指摘されています。さらにMOX燃料は、通常のウラン燃料に比べ割高で、余分なコスト増は、安全コストや人件費などの圧縮につながり、これも安全余裕を切り縮めるものです。その上使用済みMOX燃料の処理処分の方針も決まらないまま進められています。大間原発の建設再開は、まさに見切り発車といえるものです。
また周辺地域でも心配されている防災対策もいまだ何ら手付かずのままです。特に避難道路の問題は深刻で、東日本大震災でも明らかなように津波による幹線道路(大間へは海岸線に沿って幹線道路が走っています)への被害は、そのまま原発周辺地域が孤立化する恐れがありますが、避難道路の建設は一向に進む気配はありません。さらに対岸の函館市も30キロ圏内に入り、被害を受ける可能性があり、それへの対策もないまま進められる建設に対して、大きな怒りが拡がっています。函館市も「訴訟も検討」するなど、大間原発の建設に強く異議を唱えています。
勇気ある大間原発の撤退を
2011年3月11日の福島原発事故により原発や核燃料サイクルをめぐる状況が大きく変わりました。六ヶ所再処理工場は、トラブル続きでいまだ完成をみていません。高速増殖炉もんじゅも1995年のナトリウム漏洩火災事故以降まともに動かず、発電炉から実験炉に格下げされ、数年ほどの稼働で廃炉になるなど開発の展望はなくなっています。
現在、約45トンものプルトニウムを持つ日本にとって、余剰プルトニウムを持たないことが国際公約となっています。しかし福島原発事故によって、普通の原子炉でMOX燃料を燃やすプルサーマル計画は完全に破綻し、プルトニウムの消費先の目途がついていません。むしろ原発そのものの再稼働すら不確かな状況となっています。そのような中で六ヶ所再処理工場の建設を進め、消費するあてのないプルトニウムをつくり出すことは、国際的にも当然問題となっています。現に米政府から再処理から得られるプルトニウムの保有量を「最小化」するよう求めています。(10月3日共同通信報道)。
米国側は、再処理を認めた日米原子力協定の「前提が崩れる」として、整合性のない新戦略の矛盾を指摘しています。このままプルトニウムの利用がうまく進まず、再処理工場の建設もうまくいかなければ、2018年が期限の日米原子力協定の改定交渉にも影響を与えることは必至でしょう。その中で、プルトニウムを中心的に消費するフルMOX炉の大間原発は、重要な位置づけとなりますが、プルトニウム利用政策そのものが破綻している中で、強引にプルトニウム消費のためにフルMOXの大間原発建設を進めても早晩行き詰まることは明らかです。大間原発の建設・推進は、プルトニウム利用政策の破綻を隠ぺいし、危険性だけを押しつけるものでしかなく、いまこそ現実を直視し、勇気ある撤退を求めます。
北の大地で新たな核被害を繰り返すな
原子力の「安全神話」が崩れ、プルトニウム利用路線の破綻が明らかになる中で、大間原発建設再開は、日本の未来に大きな負の遺産となります。原発を動かす前であれば、撤退も容易なはずです。燃料を装荷し、一旦動かしてしまえば廃炉問題を複雑にし、その費用も膨大なものになることは明らかです、2030年代に「原発稼働ゼロ」を実現する動きが強まれば、実質20年ほどしか稼働しない原発となり、採算性の面からも割の合わないものとなるはずです。
いま国民の多数が原子力からの撤退を求めています。フクシマの惨劇を再び北の大地で繰り返してはなりません。私たちは、原子力政策の根本的転換を求めるとともに、大間原発の建設中止とともに六ヶ所再処理工場の建設中止を強く求めるものです。
次の総選挙では脱原発の候補を応援しよう
野田政権は、2030年代「原発稼働ゼロ」を打ち出しました。しかし、核燃料サイクル議論は先送りし、電源開発・大間原発や東京電力・東通原発1号機、中国電力・島根原発3号機の新増設は認めるなど、その対応は矛盾し、問題が多々ありますが、政権としてはじめて「脱原発」を打ち出し「期限」を打ち出したことの意味は大きなものです。しかし、その政権の存立は、現情勢では厳しいものがあるようです。政権が代われば、政策そのものが根本的に大きく変わる可能性があります。
次の総選挙では、自民党が返り咲くのではとも言われています。その、自民党の総裁選が行われ、安倍晋三元首相が選ばれ、次期首相に一番近いとも言われています。
どの候補も脱原発には反対し原発の再稼働を容認する原発推進派ばかりです。「安価な電力」としての原発(これも幻想ですが)が産業に必要とし、「安全保障」の観点からも必要とする議論さえ打ち出しています。これでは、福島原発事故の教訓から何一つ学ばず、原子力産業の生き残りと原発推進派の復活が強力に押し進められようというものです。
次の総選挙はぜひとも脱原発を争点とすることが必要です。福島原発事故は終わっていません。いまも16万人を越える避難者が存在し、1千万ベクレルを越える放射能が放出され続けています。その現実を争点にしなければ、犠牲になった人々が浮かばれません。そもそも、福島原発事故を招いた政治の責任としてこれまで政権与党だった自民党や公明党にも大きな責任があります。そのことの責任も果たさず、さらに原発を押し進めようとすることは許せません。脱原発を掲げる候補をぜひ応援し、国会で脱原発へ向けた議論と具体策を作り上げて欲しいものです。