2012年10月

世界銀行が『世界開発報告』発表。世界の失業者2億人。

2012年10月01日

第3次野田改造内閣が発足。

2012年10月01日

【ニュースペーパー2012年10月号】原水禁関連記事

2012年10月01日

脱原発へ市民の意思を実現させよう
基本法制定へ全国ネットワークが活動

福島で食品放射能測定所が活動を開始
市民が気軽に利用できる仕組みをめざす

用途のないプルトニウム製造を
続ける「エネルギー戦略」

三度の原発立地計画を撤回させた運動の歴史
フォーラム平和・三重 事務局長 長澤 和也


脱原発へ市民の意思を実現させよう
基本法制定へ全国ネットワークが活動

脱原発法制定全国ネットワーク 松田 奈津子

世論の高まりを受けて法案提出
 「脱原発法制定全国ネットワーク」は、脱原発法の制定を求める市民団体です。今年8月22日に設立し、通常国会会期末の9月7日に103名の国会議員の賛成・賛同を得て、議員立法として「脱原発基本法案」を提出し、継続審議となりました。
 私たちの代表世話人は、河合弘之(脱原発弁護団全国連絡会共同代表)、飯田哲也(環境エネルギー政策研究所所長)、上原公子(元国立市長)、内橋克人(経済評論家)、宇都宮健児(前日本弁護士連合会会長)、小野寺利孝(福島原発被害弁護団共同代表)、大江健三郎(作家)、鎌田慧(作家)、坂本龍一(音楽家)、桜井勝延(南相馬市長)、瀬戸内寂聴(作家)、伴英幸(原子力資料情報室共同代表)、村上達也(東海村村長)、村田光平(元スイス大使)、吉原毅(城南信用金庫理事長)ほか、様々な分野で脱原発を求めて活動している方22名です。
 また、平和フォーラム・原水禁のほか、原子力資料情報室、脱原発弁護団全国連絡会、日本消費者連盟、ふぇみん婦人民主クラブ、日本環境法律家連盟が呼びかけ団体となりました。
脱原発法の提出の際に、伴英幸さんは「故・高木仁三郎は1988年に脱原発法の制定に尽力したが、350万人以上の署名を集めても法案の提出に至らなかった。法案提出にこぎ着けたことは感慨深い」と述べました。今回、短期間に提出できたのは、国会議員が取りまとめてくださったのはもちろんですが、3.11以降、全国各地で広がったデモやパブコメに見られるような、原発ゼロの世論の高まりがあってこそと言えます。

衆議院選挙で争点を提示
 法案は、国策として進めた原発を明確に否定し、脱原発を国家として進めることを宣言しています。そして、政府に対し、遅くとも2020~25年までのできる限り早い時期に脱原発を実現させるとして目標を明示しています。さらに、「最新の科学的知見に基づく災害防止基準に適合しなければ、原発の運転を認めない」として、再稼働にも厳しいハードルを課しています。
この法案が通れば、現行の原子力基本法をはじめ原子力発電を支えてきた電源三法等の法律は改正を余儀なくされます。このように、明確に脱原発の目標を示し、再稼働を許さず、脱原発への行程を示す基本法案となっています。
 全国ネットワークを立ち上げて以降、通常国会中の法案提出を第一の目的として活動してきました。このような方針をとった理由は、秋以降の早い時期に衆院解散が実施される可能性が高く、総選挙では今後の原子力政策が大きな争点となるにもかかわらず、各政党、候補者の政策は明確ではないため、はっきりと争点を提示する必要があると考えたからです。そして、候補者にこの法案への賛否表明をしてもらうことで、だれが本物の脱原発候補者であるかを有権者が判断するリトマス試験紙とするためです。

議会制民主主義を私たちの手に
 いま必要なことは、一つ一つの原発の再稼働を止めるだけではなく、これまで54基もの原発の設置を許可し、運転を認めてきた国の政策を、法律によって明確に方向転換することです。なぜなら、日本が国として脱原発政策を選択し、廃炉や立地地域の産業復興などに国を挙げて取り組むためには、再稼働を止めるだけでは不十分であり、新たな法律が必要だからです。
脱原発法成立によって、既存の法制度は大改正を迫られます。また、行政機関や裁判所、地方自治体へも大きな影響を与えることになり、脱原発へ大きく舵を切ることができます。これは、脱原発を願う多くの国民、市民の意思を実現する、すなわち議会制民主主義を私たちの手に取り戻すことに他なりません。
 脱原発法の実現に向けた活動に、みなさまのご協力を心よりお願いします。

脱原発法制定全国ネットワーク


福島で食品放射能測定所が活動を開始
市民が気軽に利用できる仕組みをめざす

福島県平和フォーラム 顧問 竹中 柳一

 平和フォーラムは、東京電力福島第一原発事故を機に進めている福島支援の一環として、福島県平和フォーラムに放射線測定器を贈り、食品の放射能検査をする活動を呼びかけてきました。これは、放射能汚染問題の現状をとらえ、運動を拡大するためです。その測定活動について、福島から報告をもらいました。

全国からのカンパで設置される
 平和フォーラムの全国の皆さんから寄せていただいたカンパによって、ベラルーシ製の食品放射能測定器2台が、福島県平和フォーラムに納入されました。県平和フォーラムでは、市民が気軽に活用できる設置場所を検討した結果、広い駐車場がある、県の教育会館の一室を借り受け、食品放射能測定所として設置することにしました。
 事前の準備として、スタッフによる測定のための講習や勉強会などを開催し、7月から現在まで毎週金曜日と土曜日を測定実施日に決めて、教育会館が予約の窓口となって活動を開始しました。

測定器を常に稼働させる工夫が必要
 福島県でも行政サービスとして、多くの場所で無料測定を実施しています。そうした中で、行政の方ではなく、県平和フォーラムへ測定を申し込む県民は、非常に放射能についての知識や関心も高く、結果について細かく質問をしてくるケースが多いので、スタッフも放射能に関する知識を向上させることが必要となっています。そのために、測定結果の分析についての学習会を実施するなどして、それらの質問にできる限り正確に答えられるように努めています。
 米などの検査では下限値が25ベクレル以下なので、自家用の米などは、なるべく下限値を下げて測定したいという県民も多いと考えています。そのためには、活動をもっと広く県民に知っていただきたいのですが、宣伝が組織内にとどまっている点を、どう克服するかも課題です。
 現在の取り組みとしては、測定所を知ってもらうために、スタッフによるチラシの配布、タウン誌への広告掲載などがあります。せっかく全国の皆さんの善意による寄付で設置された測定所ですから、費用などの問題はありますが、常に稼働させることができるように、宣伝や運営の仕組みを工夫していかなければならないと考えています。

長く運営することをめざしたい
 原発からのセシウムは、半減期30年の137が量的には圧倒的に多いので食品検査は長い期間必要になります。県平和フォーラムとしても、測定所を長く運営しながら、市民が気楽に利用でき、学習して知識を深めることにより、測定結果についても主体的に判断できるような仕組みをめざしたいと考えています。今後とも、全国の皆様のご協力とご支援をお願いいたします。


用途のないプルトニウム製造を
続ける「エネルギー戦略」

 政府は、9月14日、「2030年代に原発稼働ゼロ」をめざすと同時に、再処理政策を継続するという「革新的エネルギー・環境戦略」を決定しました。日本はすでに、長崎型原爆5,000発分以上のプルトニウムを持っています。再処理の元々の目的は、使用した以上のプルトニウムをつくる「夢の原子炉」に初期装荷燃料を提供することでした。希少なウランを「有効活用」するためのはずでしたが、ウランの埋蔵量は予想を上回り、原発の成長は予想を遙かに下回る一方、「夢の炉」の実現は遠ざかり続けました。
 国内外の再処理で蓄積してしまったプルトニウムを普通の原子炉で燃やそうと導入されたプルサーマル計画も遅々として進まないまま起きた福島事故。原発をゼロにするとしながら、さらにプルトニウムを増やす政策は、世界の懸念と疑惑を呼びます。
 韓国は、2014年3月に期限切れとなる韓米原子力協力協定の改定交渉で、日本と同じ再処理の権利を認めるよう米国に求めています。日本が再処理政策を続行すると、米国にとって韓国の要求を拒否するのが難しくなります。受け入れれば、「南と北は核再処理施設とウラン濃縮施設を保有しない」との1992年の南北非核化共同宣言に基づく北朝鮮の核問題の解決の可能性も縮小します。また、韓国が再処理政策をとり、他の国もこれに倣えば、核拡散の危険が高まります。

再処理政策継続の理由と実質的モラトリアム
 2005年原子力政策大綱策定でも、今回も、再処理政策続行とした決め手は、使用済み燃料の置き場の問題です。各地の原発の使用済み燃料プールが満杯になりつつあり、六ヶ所工場の横にある受け入れプールもほぼ満杯で、空きをつくるためには、使用済み燃料を工場に送り込むしかないというのです。
 また、六ヶ所村や青森県は、再処理をしないなら使用済み燃料を各地の原発に送り返す、英仏からの返還廃棄物も受け入れない、と主張しています。約束が違うからといって、無用かつ危険な物質の生産を迫るのは理にかないません。交渉なしで返送となれば交付金や核燃料税が途絶え、新しい村つくりの協力も得られなくなります。政府は、「引き続き従来の方針に従い再処理事業に取り組みながら、今後、政府として青森県をはじめとする関係自治体や国際社会とコミュニケーション」を図るとその場しのぎの約束をしています。
 再処理事業を止めて議論するのが筋ですが、実質的には再処理はモラトリアム状態にあります。試運転で生じた高レベル廃棄のガラス固化がうまくいっておらず、少なくともあと1年余り、実際の運転はできないからです。この間に、何としても、再処理政策の完全放棄の道筋をつくるようにしなければなりません。

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使用済み燃料の置き場問題解決は乾式貯蔵

 福島第一原発4号機の例が示した通り、プールに詰め込んで保管する方法だと冷却水喪失により大事故となる危険性があります。自然対流による空冷式の乾式貯蔵施設を各地の原子力発電所につくり、炉から取り出し後5年以上経って温度の下がった使用済み燃料をそこに移して、プールに余裕を持たせる必要があります。脱原子力を決めたドイツもこの方法を採用しています。建設が間に合わない原発では、1~2ヵ月で建設可能な暫定貯蔵施設の設置を認めました。1年半~2年後に本格的施設に移すことを前提とした措置です。
 現在世界に存在する分離済みプルトニウムの量は500トンで、民生用と軍事用がほぼ同量の250トンずつです。核軍縮を進めて、約2万発ある世界の核兵器の総数が1,000発となると、1発当たり4㎏として、総量は4トンとなります。核兵器利用可能な民生用プルトニウムが増え続けていたのでは、核兵器国は、自国の軍事用余剰プルトニウムの処分を拒むかもしれません。民生用プルトニウムの増加は、核拡散防止、核テロ防止の努力の障害にもなります。日本は、不要なプルトニウムを増やすことにではなく、使用済み燃料と一緒に埋設するなどのプルトニウム処分方法の共同開発にこそ力を注ぐべきです。(田窪 雅文)


《各地からのメッセージ》
三度の原発立地計画を撤回させた運動の歴史

フォーラム平和・三重 事務局長 長澤 和也

 フォーラム平和・三重は、労働組合や地区労センターなど22の団体と40数名の個人会員から構成されています。主な取り組みとして、「5.3憲法を考えようフォーラム」、「12.8永久に不戦を誓う日集会」、「WPN in みえ」、「非核・平和行進」などを毎年開催、沖縄平和行進や原水禁大会への参加についても力を入れています。とりわけ、原水禁広島大会へは、組合員や会員からのカンパによって、小中学生を中心に子ども派遣団を組織し、平和の尊さを学ぶ機会を提供するとともに、子どもたちによる報告集も作成しています。
また、非核・平和行進に先立って、平和行政の充実や平和市長会議への加盟などを求めて、県下の自治体への要請行動にも取り組んでいます。今年は、平和市長会議に未加盟の7自治体と県知事、市長会長、町村会長宛にそれぞれ要請書を提出しました。昨年、一昨年とこの要請行動の後に、平和市長会議へ加盟する自治体が増えました。今年も2自治体が加盟し、29自治体のうち、24自治体が加盟済みということになりまし た。昨年実施した自治体へのアンケートでは、要請行動に取り組み始めた頃と比べ、行政として平和を啓発する事業も徐々に拡大しています。運動の成果が、少しずつ現れてきているのではないかと考えています。
 三重県では、かつて三度の原発立地計画を撤回させてきた運動の歴史があります。今でも、県内には米軍基地も原発もありません。それだけに、運動を担う者や地域の人々の反戦・平和・反原発への思いも徐々に薄れつつあり、この運動を継続して行く難しさを身にしみて感じています。しかし同時に、地道ではあっても、先達に学び、粘り強く取り組みを進めていく大切さも実感しています。大変厳しい状況下ではありますが、運動の前進のために、ともにがんばりましょう!

申し入れ書/JCO臨界事故13周年集会

2012年10月01日

日本原子力発電株式会社取締役社長 濱田康男 様
東海発電所・東海第2発電所長   劔田裕史 様

東海第2原発の再稼働中止と廃炉を求める申し入れ

 2011年3月11以降の福島第1原発事故は、原子力発電がひとたび事故を起こし放射性物質を拡散してしまえば、取り返しのつかない事態に陥ることを白日の下に曝し、事故はいまも続いており、多くの福島県民が避難生活を余儀なくされています。
 1999年9月30日に発生したJCO臨界事故の教訓の一つは原子力事故は起こるという事でしたが、福島事故によってそれが実証されました。原発の安全神話は完全に崩れたのであり、原子力災害は、ある想定のもとに事故対策がたてられても、その想定を超える事態によって事故は起こる、ということです。
 福島第1原発事故と同時に日本原電・東海第2原発は、一応原子炉は停止したものの、外部電源喪失の中であわやの事態が続き、3日後の冷温停止まで原子炉格納容器内で主蒸気逃し安全弁の操作が170回行われるなど、危機一発の事態が続き、最悪の場合は福島原発と同様の事態となり、放射能が首都圏を襲う危機が進んでいました。
 東海第2原発は、1978年の稼働からすでに33年が経つ老朽原発であり、その位置から周辺30キロ圏内に約100万人が暮らし、東京まで110キロの距離に立地しています。ひとたび事故が起これば圏内の人々は押し寄せる放射能から避難できず身を守れないことは福島事故で明らかにされました。
 しかしながら、貴社は8月31日に東海第2原発の1次安全評価(ストレステスト)の提出を行い、「再稼働」に向けた準備を進めています。
 一方、大変猛暑となったこの夏の電力需要の状況を見ても、電力供給量には余裕があり、貴社の東海第2原発再稼働はまったく必要性がないものであります。
 県内では、東海第2原発の再稼働に反対し、廃炉を求める声はさらに大きくなっており、廃炉を求める署名も23万筆を超えて知事に提出され、「再稼働反対・廃炉」を求める市町村議会決議が相次いで採択されています。
 こうした脱原発を求める多数の民意に従えば、貴社の東海第2原発は一刻も早く、廃炉を決め、再稼働を断念すべきであることをここに申し入れます。

2012年10月1日
JCO臨界事故13周年集会参加者一同


株式会社ジェー・シー・オー
代表取締役社長 桐嶋 健二 様

申し入れ書

 2011年3月11日、福島第一原発は重大な事故を起こした。放射能雲は、福島現地はもちろん茨城県を含む広範な地域にも広がった。放射能は大地を汚染し、農作物に降り注いだ。一時間当たりの環境放射線量は通常の百倍にも達した。海洋に流れ出た放射能は海流によって茨城県沿岸も襲った。こうしてそれ以来、放射能で汚染された農作物や海産物、飲料水の摂取に気を使わなければならない生活を強いられるようになった。校庭や園庭などの除染作業やホットスポットとなった公園の除染も行われている。東海村では子供の甲状腺超音波検診が間もなく実施される。このように五感ではとらえられない放射能によって3.11前とは違った環境のなかに、この地域に住む私達は在るのである。
 こうした状況下で、貴社・JCOは放射性廃棄物の焼却施設を設置する計画を明らかにした。事故から一年も経たない、今年2月に東海村に説明を行い、4月には県と関係町村に計画を公表した。新増設の際の、立地県・自治体との事前協議を規定した、安全協定5条の対象施設ではないとして、自治体議会への説明もないまま、毎年恒例の年間事業計画のなかに忍ばせて周辺住民への説明会を開いて、そそくさと文科省へ許可申請を出そうとしたのである。何故この時期に?というのが周辺住民の率直な疑問である。環境放射線が事故直後よりは下がってきているとはいえ、いまだに3.11以前よりは高い中で、たとえ微量でも施設排気筒から、あるいは排水路から放出される追加放射線を認めることはできない、それが住民感情というものである。この感情を氷解させるには、それこそ丁寧な説明が必要である。
 JCO側の説明によれば、放射性廃棄物を詰めたドラム缶8,900本のうち700本を8年かけて焼却し、その後焼却施設は解体する、他からの放射性廃棄物を受け入れることはしない、という。焼却炉だけで1億円かける施設の扱いがほんとにそれで済むのか、というのが住民の疑念でもある。JCOはこの疑念を氷解させなければならない。
 以上、原発再稼働問題に社会全体の目が集中している裏で、村議会や住民への十分な説明もなく、そそくさと放射性廃棄物焼却施設の建設を始めようとしている貴社・JCOに、私達は厳重に抗議する。かつて臨界事故を起こして社会に大きな迷惑をかけた会社として語るに落ちた行為だと考える。その上に立って、放射性廃棄物焼却施設設置の申請が文科省によって認可されたという事実を踏まえて、以下の事項の実現に力を尽くすよう申し入れる。


 一. 放射性廃棄物焼却施設の建設前に真摯な透明性のある住民説明会を開くこと
 一. 安全協定五条の対象でないことの根拠を分かりやすく説明すること
 一. 事情が変わっても、他からの放射性廃棄物を受け入れないという約束を村と結ぶこと

以上

2012年10月1日
                       JCO臨界事故13周年集会参加者一同

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