止めよう再処理!共同行動ニュース02/27号の記事から
2013年02月27日
使うあてのないプルトニウムを作ってどうするの?
溜まり続けるしかないのが現実
日本原燃は、今年10月の六ヶ所再処理工場の竣工(予定)を前にして1月31日に「再処理施設の使用計画」を発表しました。これを見ると、2013年度下期(10月竣工以降)は1986㎏生産されることになり、以後2015年度までに16255㎏生産する予定としています。ウランも2013年度下期から生産が開始され、2015年下期までに842㎏を生産するという。一方で同じ表の「払い出し量」を見ると、プルトニウムとウランは共に「0」となっています。作っても現時点の計画でも使う見込みが立っていないということです。
六ヶ所再処理工場は、国内の原子炉においてプルサーマル計画でウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX燃料)として使うことが期待されています。しかしそのMOX燃料は、海外で再処理され、返還されてきたプルトニウムをまず使うことが前提とされ、国内生産されたプルトニウムはその後ということになっています。すでに六ヶ所再処理工場が稼働する前に、プルトニウムを日本はすでに約45トンも保有しています。生産しても六ヶ所再処理工場のプルトニウムは使うあてもなく溜まり続けるしかないのが現実です。
プルサーマル計画も破たんしているのに
政府や電力会社は、プルトニウムを使用するプルサーマル計画を、これまで2015年までに16~18基の原発で実施する計画進めてきましたが、2011年3月11日の東京電力福島第一原子力発電所の事故により原発そのものが停止する中で、完全にこの計画は破たんしました。現在、国内には50基の原発がありますが、大飯3、4号機の2基しか稼働していません。それもこの夏には定期点検に入り、全ての原発の稼働ゼロが再び訪れることになります。
昨年12月の衆議院議員総選挙で、自公政権へ交代し、前政権の「原発ゼロ戦略」を見直し、「ゼロベース」で考えると政策も変わりました。原発の再稼働については、今年7月に原子力規制委員会が定める新安全基準に沿って再稼働を認めるとしています。しかし、実際に再稼動できるかどうかは不透明です。現在、東通原発(青森県)、浜岡原発(静岡県)、敦賀原発(福井県)など各地で活断層と地震の問題で取り上げられ、再稼働どころか廃炉の可能性すら出てきています。さらに各地の原発の周辺自治体からも「廃炉」や「永久停止」などの決議が次々とあがる状況の中で、原発の存続さえわからない状況です。まして、プルトニウムを使うMOX燃料は、普通の核燃料(ウラン燃料)に比べ事故が起これば被害は大きくなります。さらに、電力会社の経営環境が厳しい中で、割高のMOX燃料をあえて使うことも疑問です。このように、六ヶ所再処理工場を動かす理由はみつかりません。
政策の全面的な見直しを
この間の報道でも明らかになったように、再稼働が見通せない中で、日本原子力発電はすでに自社の有するウラン燃料の一部を売却し、東京電力もそれを検討しているなど、プルトニウムどころかウランまで切り売りするような状況になっています。原子力政策そのものが方向を見失っているにもかかわらず、六ヶ所再処理工場の竣工・稼働に向けて試験と工事が進められています。
六ヶ所再処理工場は、現在アクティブ試験に入り、放射性廃棄物ガラス固化施設の試験を進めています。今年1月にはやっとB系統の試験が終わり、4月からA系統での試験が開始されると言われています。これが終われば日本原燃としての試験が終わり、国の審査を経て稼働ということになりますが、これまで何度となくA系統ではトラブルを起こし、そのたびに竣工時期の延期を繰り返してきました。プルトニウムを大量に作り出すことは、周辺国にとっては、日本の核武装への懸念を抱かせるだけです。
六ヶ所再処理工場の建設・運転資金はすべて私たちの電力料金から出ています。すでに2兆円を超す巨額の資金を投入していますが、さらに多くの資金を投入し、破たんしているプルトニウム利用政策を維持しようとすることに対して、国や電力会社は、私たち消費者・国民に説明する責任があります。原発推進の安倍政権になってさらに無責任な政策を進めようとしています。私たちは、六ヶ所再処理工場を稼働させる前に、政策の全面的な見直しを強く求めます。