韓国のチョン・ホンウォン国務総理、25日の国会答弁で米戦術核兵器の韓国内再配備に反対表明。
2013年04月27日
2013年04月26日
南アフリカやスイスなど75か国の賛同によって核拡散防止条約(NPT)再検討会議準備委員会に提出された、「核兵器の非人道性を訴え核兵器廃絶を求める共同声明」に、日本はまたも署名を拒否しました。
核兵器が二度と使われないことを保証する唯一の手段は完全な核兵器の廃絶だとし「いかなる状況下でも核兵器が再び使用されないことが人類の生存に利益となる」という共同声明の内容は、広島、長崎の被爆者をはじめ世界平和を希求する多くの人々の主張であり、市民社会からは当然の要求です。原水爆禁止日本国民会議は、この共同声明への賛同を拒否した日本政府の態度に強い憤りを持って抗議します。
南アフリカやスイス政府が、誠意を持って日本政府と交渉し、「核兵器の非合法化」が核の傘に依存する日本の安全保障上受け入れられないという日本政府の主張を受け入れその文言を外したにもかかわらず、菅義偉官房長官の「きびしい安全保障の状況を考えたときにふさわしい表現かどうか、慎重に検討した結果」と言う主張は、とうてい日本の市民社会に受け入れられるものではありません。
核安全保障上、米国の核への依存を絶対視してきた日本政府は、これまでも「核なき世界」を標榜するオバマ政権へ「核兵器を削減しないでほしい」と秘密裏に要請するなど、国民の理解を超える独自の論理で動いて来ました。米ロの新戦略核兵器削減条約や北大西洋条約機構の「消極的安全保障」の導入など、世界は核兵器廃絶に向かって動いています。日本政府の今回の署名拒否は、非核三原則をも否定しようとする政府自民党の予兆であり、新防衛大綱案を反映したものと言えます。日本政府の矛盾した姿勢は、核兵器の廃絶と世界平和を願う全ての人々から非難をもって迎えられるに違いありません。
原水禁は、「核と人類は共存できない」との思いを共有する全ての人々と連帯して、核兵器廃絶と脱原発をに向けて全力でとりくんでいくことを、あらためて決意するとともに、日本政府が、ヒロシマ・ナガサキの惨禍をあらためて見つめ直し、核兵器が非人道的であるとの認識に立って行動することを強く要求します。
2013年04月24日
ガラス固化試験の中止を!
核燃料サイクル政策の明確な説明を強く求める
A系統のガラス固化試験はじまる
4月17日、日本原燃は、六ヶ所再処理工場のアクティブ試験の最後の試験として残されている高レベル廃液ガラス固化建屋ガラス溶融炉(A系統)のガラス固化試験の開始しにむけた熱上げを開始しました。5月上旬からガラス固化試験を開始し、1カ月程度の試験を見込み、6月初旬頃までに終了するとされています。この試験は、実際の高レベル放射性廃液を使いガラス固化体を作る試験で、炉内の温度を安定して管理できるかチェックする安定運転試験や廃液の最大処理能力(1時間当たり70リットル)で運転できるかどうかを確認する性能確認試験などを行うものです。
これまでB系統での試験では、一応成功としてきましたが、A系統はこれまで何度もトラブルを起こして試験が失敗してきた施設です。それにより再処理工場の完工が何度もすれ込ませたいわく付きの施設です。B系統でうまく行ったからと言って、A系統でもそうなるとは限っていませんが、根本的に欠陥があることは間違いありません。
未完成な技術のガラス固化施設
そのことは、この施設が完成する前に、すでに次のガラス固化溶融炉の研究開発施設を新たに敷地内に建設し、改良型の新型ガラス溶融炉の研究が急ぎ進められていることからもわかるように、現在のガラス溶融炉の信頼性の低さを日本原燃自ら語っています。六ヶ所再処理工場は、日本で初めての「商業用」再処理工場として建設されたものです。当然先行した研究開発を主とした東海再処理工場と違い、「完成された」技術を用いていることが前提のとなっています。しかし、ガラス溶融炉の相次ぐトラブルに見舞われ、急遽研究開発を余儀なくされている状況は、結局「完成された」技術ではないことを証明しています。欠陥施設は、今後もまともに動くことすら保証の限りではありません。さらに新たな研究開発でまともなものが作れるのかどうかさえ、これまた保証の限りでないことは明らかです。商業施設としても問題な六ヶ所再処理工場をムリに動かすことは大きな問題です。ムダな研究開発に私たちの貴重な電力料金を投入することは許されません。
しかしこの状況にあっても、日本原燃は、この試験を強行し、8月までに国による使用前検査を受けて、当初予定していた10月完工に漕ぎ着けたいとする予定をいまだ変更していません。
20回目の延期確実!
しかし、たとえ試験がうまく行ったとしても六ヶ所再処理工場は、すぐに完工へと動き出せないと言われています。現在原子力規制庁は、再処理工場やMOX加工工場などの原子炉以外の核燃料サイクル施設の新規制基準策定の議論を始めたばかりです。新規制基準ができるのは今年12月以降と言われ、原子力規制庁サイドは、それまでは使用前検査を受けさせないとの方針を示しています。すでに10月完工と宣言していた日本原燃の不退転の決意は、この時点で脆くも崩れ落ちようとしています。20回目の完工延期は確実ですが、それでもいまだ10月完工の旗は降ろしていません。
さらに前号の「止めよう再処理!共同行動ニュース」でも報じたように、2013年度に六ヶ所再処理工場で、使用済み核燃料から取り出す予定の核分裂性プルトニウム約0.5トンの使い道を示す利用計画について、電気事業連合会は計画作成を断念したことが明らかになりました。核兵器の材料になるプルトニウムの使い道が明らかにされないままの製造・保有は国際的な緊張を高めるものとされ、これまで国際公約として余剰プルトニウムを持たないこととされていました。その前提である国内でのプルトニウム利用の透明性を確保するために、どの原発でいつから、どれくらい使うのかを明らかにしなければならないところ、福島原発事故以降、国内の原発そのものが停止し、ましてやプルトニウムを使うサーマル計画の見通しの目途がたたない状況にあります。そのことからも、六ヶ所再処理工場が完工してもまともに動く訳がないことは明らかです。
核燃料サイクルは成り立つ明快な説明を求める
まともに動くことなく施設は一方で老朽化していきます。計画から四半世紀を超えたいま、すでに施設が完成する前に老朽化を心配しなければなりません。さらに実際にどれだけ稼働できるのか、これまで投資した(2兆1千億円以上)以上に資金が回収できるのか。私たちの大切な電気料が使われている以上、電気事業者にはその責任と説明義務があります。私たちは、六ヶ所再処理工場の存在意義と経済性、必要性そして核燃料サイクルの具体的計画現実性の説明を強く求めます。
さらに核燃料サイクル計画の中で、関連する施設建設や政策の遂行が個別バラバラに動いている中で、整合性ないし責任ある政策はまったく立っていません。にもかかわらず、いまだまともな説明すらなされていません。このまま無為無策のまま、ただこれまでの政策の垂れ流し的政策の遂行は、政治や行政の怠慢でしかありません。政治家や行政そして電力側からの明快な説明を強く求めます。そして核燃料サイクル路線からの撤退をこれもまた強く求めます。
2013年04月21日
4月21日、山口県立図書館レクチャールームを会場に、「上関原発の埋立免許を不許可に!山本知事の判断先送りに抗議する山口集会」が原発に反対する上関町民の会、上関原発を建てさせない祝島島民の会、原水爆禁止山口県民会議、長島の自然を守る会の四団体の主催によって開催され、約300人が参加しました。
集会では原水禁山口の岡本博之議長が「知事による判断の先送りは許さない。福島の事故を忘れようということにするのか」とあいさつしました。
また、公有水面埋立許可取消訴訟の弁護士、足立修一さんが「埋立免許をめぐる現状と問題点について」、自然の権利訴訟弁護団の弁護士、籠橋隆明さんが「埋立免許と自然の権利」と題した講演をそれぞれ行いました。
最後に原水禁山口の桝本康仁事務局長が集会アピールを読み上げ、その後、道場門前商店街など約1.5kmをデモ行進して、「山口に原発はいらない」などと訴えました。
集会アピール
上関原発建設予定地の公有埋立免許が中国電力に交付されて、4年6カ月が経過した。この間、中国電力は工事を強行しようとしたが、祝島島民らの抗議行動により予定海域の埋立工事は進んでいない。そして2011年3月に発生した東京電力福島第一原発事故により工事は中断し、奇跡の海と称され、希少な生物が生息する生物多様性のホットスポットは、今も残されている。
昨年10月、埋め立て免許は失効し静かな海が戻るはずであった。しかし、中国電力は埋め立て免許の延長申請をおこない、それを受理した山本繁太郎山口県知事は、それまでの『延長は認めない』とした自らの言葉などなかったかのように、可否の判断を先送りにしている。
山口県は、自らが定めた標準処理期間を大幅に超えて、来年4月11日を期限とする5度目の補足説明を中国電力に求めている。法令を守るべき立場である行政が公然と法令違反を犯している現状は、決して見過ごされていいものではない。
わたしたちは安全な原発など存在しないことを2年前に思い知らされた。どんなときでの、自然は私たちの想定を超えることがあることを忘れてはならない。原発事故による災害は、ひとたび起きれば広範囲にそして長期にわたる災害となることを忘れてはならない。いまもフクシマでは放射能漏れが続いていることを、故郷に帰れない人たちがいることを、そしていつ帰れるのかもわからないことを忘れてはならない。
原発事故に備え、住民の安全を確保する最善の方法は原発をつくらないことしかない。わたしたちは、次第を担う世代のために、いま原発に頼らない社会の実現を求めていかなければならない。世界的に貴重な生物が数多く生息する自然が豊かな、美しい海を残していかなければならない。
わたしたちは、上関原発建設予定地の公有水面埋立免許延長の不許可を求め、新たに署名運動を行う。県民の多くのみなさんの署名を力に、わたしたちは上関原発建設計画の中止を求め闘っていく。
2013年4月21日
「上関原発の埋立免許を不許可に!!山本知事の判断先送りに抗議する山口集会」
2013年04月06日
4月6日、青森市「青い森公園」で、原水禁、原子力資料情報室、再処理とめよう!青森県実行委員会などが参加する「再処理とめよう!全国実行委員会」の主催で、第28回「4.9反核燃の日全国集会」が開催され、1200人が参加しました。
はじめに、道田哲朗原水禁副事務局長が現在の政府に対して、「六ヶ所村に運び込まれた使用済み核燃料の処理のためにも、核燃サイクルを計画どおり起動させよという、巧妙な宣伝が行われている。これを断じて受け入れることは出来ない」と発言しました。地元からは、三上武志青森県実行委員会代表が発言し、続いて脱原発弁護団全国連絡会共同代表の河合弘之弁護士が連帯のあいさつで原発の稼動を阻止するためには、住民が声をあげることが必要であると発言しました。
集会とデモ行進の間、俳優の山本太郎さんが「原発いらない、生命(いのち)が大事」と訴えました。
全国交流集会はリンクステーション青森を会場に行われ、講演で「核燃料サイクルを止めて、再稼動を止めよう!」と題して、海渡雄一弁護士が、多くの原発関連の裁判に関わった経験から、核燃料サイクルの危険性や、昨年の政権交代後により顕著になった原発再稼動への動きを批判しました。
地元での現状報告として、核燃阻止1万人訴訟原告団の山田清彦事務局長が今年10月に竣工予定という六ヶ所再処理工場について、運転前に停止すべきと訴えました。各地の報告として、福島県浪江町出身で、郡山市に避難している、柴口正武福島県平和フォーラム幹事が、東京電力福島第一原発事故をめぐる地元の現状について、福井県平和環境人権センターの水上賢市事務局長が、もんじゅをめぐる現状について報告を行い、それぞれ今後の課題についての提起を行い、西尾漠原子力資料情報室共同代表が閉会のあいさつを行いました。
この集会は県議会が1985年4月9日の全員協議会で、核燃料サイクル施設立地受け入れを決めたことから、この日を「反核燃の日」と位置付けて、毎年開催されているものです。
また、集会に先立ち、5日には原子力関連施設が立地している、建設中である自治体(大間町、東通村、むつ市、六ヶ所村)と青森県、事業者に対して、申し入れ行動を行いました。
2013年04月01日
4月6日は「反核燃の日全国集会」へ
六ヶ所再処理工場は運転前に停止を
「つながろうフクシマ!」を合い言葉に
3月9日~11日、各地で脱原発の集会
4月6日は「反核燃の日全国集会」へ
六ヶ所再処理工場は運転前に停止を
取り出しても使い道のないプルトニウム
一基の原子力発電所を1年間運転した際、環境中に放出される放射能を、1日で放出すると言われているのが青森県の六ヶ所再処理工場である。本格稼働すれば、年間800トンの使用済み核燃料を再処理する計画で、4トン強のプルトニウムを抽出する。
建設が始まった20年前なら、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出して、高速増殖炉で燃焼するという「可能性」があった。しかしそれが頓挫して、50年後にも実現が見通せない。だから、ウランとプルトニウムを混ぜたMOX燃料を一般の原子炉で燃やすプルサーマル計画を言い出したものの、福島原発事故を経て、計画通りに進められるかどうか疑問だ。今でも約44トンのプルトニウムを保有している日本が、使い道の定まらない、核兵器の原料であるプルトニウムを増やすことに、世界が警戒感を強めるのは間違いない。
これまでアクティブ試験を行い、425トンを再処理して、ウランとMOX原料と核のゴミに分類した。これをもって、「工場としては完成した」と日本原燃は言ってきた。しかし高レベル放射性廃液をガラス固化体にする過程でのトラブルによって、19回も稼動時期を延期。今年10月の竣工予定と言うが、着工から20年経ち工場全体が劣化している可能性も高い。
ガラス固化施設が順調に動かないと、再処理工場が完成したことにはならない。そこで、日本原燃は2007年11月頃に発生した不具合から、ガラス固化施設の修復に努めてきた。その結果、2経路あるA系統の修復を先送りして、B系統でガラス固化試験を実施。ガラス固化体を製造するうえで障害となる白金族が滞留して目詰まりすれば、鉄棒でかき混ぜたり、下からドリルを突き刺したりするという、かなり原始的な方法で乗り切ることにした。こんな技術しかない日本原燃に、プルトニウムを扱わせていいのだろうか。
国は再処理工場の原子力防災範囲を拡大すべき
国は原子力防災範囲を原発で半径30キロメートルまで拡大したが、再処理工場は相変わらず半径5キロメートルにしている。扱う放射能量が多いので、本来であれば半径60キロメートルまで拡大すべきではないか。ここまで範囲を拡大すると、青森市と八戸市も入るので、80万人くらいの人々が原子力防災対象者ということになる。
地震や津波、航空機が墜落するなどの事故が起これば、自分たちが生活圏から弾き出されることになる。再処理工場の運転開始は、まるで地雷原の上に住むかのような怖さだ。そのことが共有されれば、多くの人々が再処理工場を止めようという意識に変わるだろう。そうなっては困るということで、原子力防災範囲を拡大しないとすればそれは犯罪に等しい。
六ヶ所再処理工場には、高レベル放射性廃液が現時点で202立方メートル貯蔵されている。全電源喪失が起きれば、高レベル廃液の冷却が維持されず廃液が沸騰し、爆発すると言われている。この一部が環境中に漏れただけでも、東北地方は壊滅状態となるだろう。また、東海村再処理工場には394立方メートルの廃液が貯蔵されている。爆発すれば、恐らく日本中どこにも人が住めないような、放射能汚染地帯となるだろう。
なお、下北半島では大間町にフルMOX原発を建設中で、むつ市にはリサイクル貯蔵施設も建設中だ。東北電力東通原発の建設計画もある。そんな中、東通原発1号機の下に活断層がある疑いが浮上している。
再処理がなければ電気料金値上げを圧縮
最近になって、再処理工場が稼動することに対して、「本当に大丈夫なのか」という声が多く聞かれるようになったと感じる。経営危機から電力会社は、電気料金の値上げを申請しているが、再処理工場に支払う分を減額すれば、値上げ幅を圧縮できるはずだ。私たちが、再処理費用を支払わなくなれば、電力会社は日本原燃を支えきれなくなる。それが原発と再処理をやめる方向へ舵を切らせることにもつながる。
青森県では、核燃施設の受け入れについては、県民投票条例を制定して決すべきだという運動が提起されていたにもかかわらず、1985年4月9日、当時の北村正哉知事が県議会全員協議会で、核燃施設の受け入れを容認した。それに怒った県民が開催したことから始まった反核燃の日集会が、今年も行われる。28回目となる集会へ、全国の皆さんの参加をお願いしたい。
第28回「4.9反核燃の日全国集会」
日時:4月6日(土)14:00~16:00
会場:青森市「青い森公園」
(青森県庁となり/JR「青森駅」7分)
内容:屋外集会
市内デモ行進(青い森公園→柳町通り→新町通り→協働社付近で流れ解散)
主催:核燃とめよう!全国実行委員会
原水禁国民会議(03-5289-8224)、原子力資料情報室、青森県反核実行委員会ほか
「つながろうフクシマ!」を合い言葉に
3月9日~11日、各地で脱原発の集会
2011年3月11日の東日本大震災及び福島原発事故から2年を迎えました。被災地は復興に向けて動き出していますが、一方で福島原発事故による放射能の被害が広範囲に渡り、大きな妨げとなっています。いまでも福島県内では16万人もの人々が、故郷を奪われ、生活や健康、就労などに多くの不安を抱えています。
事故の収束も見えない中で、総選挙後に政権交代しましたが、政府の事故対応は進んでいません。一方で、原発の再稼働の話だけが突出しようとしています。被災者への援護が優先されるべきはずが、企業や業界の生き残りが優先されようとしているのです。
「反原発以外、21世紀に日本が尊敬される道はない」
そのような中で、作家の大江健三郎さんら9人の呼びかけ人でつくる「『さようなら原発一千万署名』市民の会」が、3月9日~11日の3日間を「つながろうフクシマ!さようなら原発大行動」と位置付けて、様々なアクションの展開を国内外に呼びかけました。フクシマを忘れず、風化させず、脱原発社会をめざして企画されたものです。
東京では、3月9日に明治公園で「つながろうフクシマ!さようなら原発大集会」として開催され、春の暖かい日差しの中、1万5千人が集まりました。集会は二部構成で行われ、呼びかけ人から大江さんの他、鎌田慧さん、落合恵子さん、澤地久枝さん、そして作家の広瀬隆さん、福島からの避難者である斎藤夕香さんらが発言しました。海外からは、韓国の環境団体「韓国環境運動」の共同代表で「核なき世界のための共同行動」代表のチェ・ヨルさんが駆けつけて、メッセージを披露しました。また、11日には品川区の「きゅりあん・大ホール」において、「つながろうフクシマ!さようなら原発講演会」が開催され、1200人が参加しました。
9日の集会で大江さんは、「私のいま現在の決意は3つです。広島、長崎、そして福島をナカッタコトにしようとする連中と闘う。もう一基の原子炉も再稼働させぬ、そのために働く。そして、このデモコースを完歩することです。しっかり歩きましょう!」として決意を語り、デモコースを先頭で歩き通しました。
翌々日の講演会では、「反原発に向けてがんばっていく以外に、日本が21世紀に尊敬される道はない」と訴えました。また、呼びかけ人から内橋克人さん、澤地さん、鎌田さん、落合さん、ゲストとして福島大学教授の清水修二さん、九州大学教授で副学長の吉岡斉さんの講演が行われました。呼びかけ人の坂本龍一さんはミュージシャンの後藤正文さんと対談を行いました。
各地でもたくさんの集会やデモなどが開催される
9日~11日には、わかっているだけでも全国で150ヵ所以上の地域で、集会やデモなどが取り組まれました。全国でフクシマを想い、フクシマを忘れない行動が取り組まれたことは、脱原発の世論が「沈静化した」という声に対する反証になったと思います。
札幌では暴風雪のため屋外集会が中止となりましたが、屋内集会には600名が集まり、新潟でも600名、京都では3500名、福岡は2000名など、各地でたくさんの人々が声を挙げています。この声は広く海外にも伝わり、韓国ではソウルや釜山など各地で連帯する集会が開かれ、日本と同じく地震国でもある台湾でも10万人の集会が開催されています。ヨーロッパでは、フランス、イギリス、ドイツなどでもフクシマに連帯する集会が行われ、メッセージも寄せられています。詳しくは「さようなら原発1000万人アクション」HPを。
フクシマを「核時代の終わり」の始めに
国内外の草の根の動きを、さらに大きなものにしていかなければなりません。安倍自公政権の原発推進への「先祖返り」を許さないためにも、今後もフクシマを風化させない取り組みの強化が求められています。
同時に被災者の直面する様々な問題に寄り添い、具体的解決をはからなければなりません。その上で脱原発を実現する道筋をつくりあげることが「つながろうフクシマ!」になるのだろうと思います。
それぞれの場で全国とつながる運動が引き続き大切になります。原水禁・平和フォーラムでは、「フクシマを『核時代の終わり』の始め」にするための取り組みを、今後も拡大していきます。
問われる日本の国際的責任
MOX燃料輸送と再処理開始
50基の発電用原子炉のうち、大飯原子力発電所の2基を除く48基は、7月に発表される原子力規制委員会の新安全基準を満足させられるまで再稼働はあり得ません。そして再稼働となったとしても、MOX燃料の使用が自治体によって認められるか否かは不明です。それにも拘わらず、フランスからのMOX燃料の輸送や六ヶ所再処理工場の操業開始が計画されています。
引き受け先不明のMOX燃料輸送計画
グリーンピース・フランスは、2月26日、2011年春に予定されながら福島第一原子力発電所事故を受けて延期されていたMOX燃料の輸送が、4月に計画されていると発表しました。その後の報道によると、フランスの原子力産業複合企業アレバ社はMOX燃料の輸送準備について日本の関係当局と協議していると認めたとのことですが、輸送時期は明らかにしていません。グリーンピースの最新の連絡では、シェルブール港出港時期は4月上旬から中旬と予測されるとのことです。
一昨年の輸送計画は、中部電力浜岡4号機及び関西電力高浜3号機用のものでした。関西電力が7月に高浜3及び4号機の再稼働することを想定しているため、輸送先は高浜3号機との見方が有力でした。計画について言葉を濁していた関西電力は3月21日になってやっと高浜3号機用の輸送を計画していると発表しましたが、輸送の時期・ルートは明らかにしていません。
現在、約960kgのプルトニウムを含むMOX燃料が5つの原子力発電所で保管されたままになっています。柏崎刈羽原子力発電所の場合は、この状態が2001年3月以来、12年間も続いています。利用のめどの立たないMOX燃料輸送は、不必要に輸送中や原子力発電所での核セキュリティ上の問題を増大させます。核セキュリティに責任を持つ原子力規制委員会は、受け入れ先を明確にするとともに輸送停止を命じるべきです。
2013年度後半に再処理開始と発表の日本原燃
2013年10月の六ヶ所再処理工場竣工をめざしている日本原燃は、1月31日、2013年度下半期に工場の運転を始めるとの計画を原子力規制委員会に届け出ました。日本は、2011年末現在、英仏に約35トン、国内に約9トン、合計約44トンのプルトニウムを保有しています。8kgで長崎型原爆一発分との国際原子力機関(IAEA)の基準を使えば、5500発分に達します。
米国のオバマ大統領は、2012年3月に核セキュリティ・サミットでソウルを訪れた際、韓国外国語大学校での演説で「プルトニウムのようなわれわれがテロリストの手に渡らぬようにしようと努力しているまさにその物質を大量に増やし続けることは、絶対にしてはならない」と述べています。原子力規制委員会が核燃料サイクル関連施設の新安全基準を発表するのは12月になると見られていますから、届け通り再処理が始まることにはならないでしょうが、原子力発電所の再稼働のめども立たない現状で、プルトニウムをさらに分離する計画を出すことは、国際的な懸念を招きます。
原子力委員会は、2003年8月の決定において、核拡散防止面での懸念に応えるためとして、六ヶ所再処理工場でのプルトニウムの分離について次のように定めています。「電気事業者は、プルトニウムの所有者、所有量及び利用目的(利用量、利用場所、利用開始時期、利用に要する期間のめど)を記載した利用計画を毎年度プルトニウムを分離する前に公表」し、「原子力委員会は、その利用目的の妥当性について確認」する。しかし、電気事業連合会は、福島事故後、プルトニウムの利用計画を更新していません。
そもそも、電気事業者がこれまで発表した利用計画は、六ヶ所村で建設中のMOX工場が完成したらそこでMOX燃料を製造し、原子炉で利用するつもりだとの意思表明に過ぎません。1991年の原子力委員会核燃料専門部会報告書「我が国における核燃料リサイクルについて」にある「必要な量以上のプルトニウムを持たないようにする」との「原則」に従うなら、英仏にある35トンのプルトニウムの消費の見通しが立たない状態で、これ以上のプルトニウムの分離を認めるべきではありません。原子力委員会は、早急に電気事業者に「利用計画」を出させるとともに、「利用目的の妥当性について確認」する際には英仏にあるプルトニウムを考慮すると明記した明確な基準を定めるべきです。