2013年08月05日
講師 藤井石根さんの報告
時代に原発から自然エネルギー(NE)へと重点が広がり、雇用の裾野も広がっている。2005年でNE利用が55ヵ国だったが、2010年には100ヵ国以上に、投資額も300億ドルから1500億ドルまで拡大している。自然エネルギーの促進には①将来目標値の設定②助成か税控除などの財政支援③公的機関でのグリーン電力の活用などを進めることが重要だ。原発推進派は、供給が不安定、パワー不足というが、蓄電や多種のNEの活用、エネルギーの融通など技術的に解決できる。私たちの手で国のエネルギー政策を動かそう。
海外ゲスト
イエンス・ケンツィアさん(ドイツ緑の党)の報告
ドイツでは2002年に15年かけて原発の段階的廃止法を制定し、その後、保守党によって廃止か延期されたが、2011年の福島原発事故で再び段階的廃止を決定した。すでに半数以上(8基)を廃止とし、残りも段階的に廃止して2023年には原発ゼロになる。
ドイツでは固定価格買取制度が市民の投資によって、自然エネルギーが拡大している。原子力ロビー(推進派)は①停電する②送電網が崩壊する③電気料金が上がる④産業に悪影響がある⑤雇用が失われるというが、「原発の半数が廃止でも停電はなく、送電網も安定している。さらに再生エネルギー導入による雇用増や電力輸出が伸びている。
日本は日照時間も長く風も強い。2年間原発なしでやってきた。日本でも必ず成功する。
イ・サンホンさん(韓国)の報告
韓国では電力消費の増加が原発増につながり、現在は23基が国内にある。2030年には40基となり、そのうち34基が日本海に面している。国土の面積に対する原発の割合は世界でトップだ。
韓国の懸案の一つにウォルソン1号の寿命延長がある。2012年に30年の寿命を終えて稼働が中断されているが、政府の寿命延長の法的審査期間は18ヵ月にもかかわらず、44ヵ月を超えて審査している。
この原発は構造が複雑で、配管も薄く、地震による危険性が高い。国際原子力機関(IAEA)も停電の評価(全電源喪失)をしていないと指摘している。慶州の核廃棄物処理場も地下水の流出が多く竣工が延期されている。
講師 西尾漠さんの報告
新規制基準にもとづき、各電力会社から申請された原発は、40基の廃炉の例外規定を使っての運転延長を念頭に申請している。「動かしていい原発と動かせない原発とを分け、その上で順次止めていく」ということが現実なのか。即時原発廃止こそ現実的な政策だ。
各地からの報告では、再稼働の申請を出した電力会社のある福井、愛媛、北海道、新潟から申請内容の問題などが報告され、山口からは上関原発の建設が安倍政権によって、再び浮上している現状が報告された。
2013年08月05日
講師 振津かつみさんの報告
福島原発事故で大量の放射能が放出され、多くの住民が被ばくさせられた。地震が多発する日本での原発推進は全くの人災である。「放射線管理区域」に相当するレベルは県外に広範囲に拡散した。原発事故で高被ばくをしながら働く被ばく労働者は1ヶ月で、通常の被ばく労働者の1年分を被ばくする。被ばくに応じた健康の補償が必要だ。
事故は収束していない。汚染水の備蓄、地下水の汚染、大気中の放出が続いている。進まない除染、食品汚染、健康管理などの汚染と被ばくに加えて、家族、地域社会の崩壊、生活基盤が損なわれる事態がある。「県民健康調査」は20万人を対象にしたが、回収率は23.4%だ。国の責任で全ての被災者への健康調査が必要だ。
国の責任による「健康手帳」の交付等、被災者の健康、命、生活の保障を求め、闘うこと。全国の脱原発運動をヒロシマ、ナガサキを結んで、フクシマ支援を取り組もう。国家補償に基づく全般的な被災者支援を。
講師 伴英幸さんの報告
福島原発事故の原因は未解明であり、過酷事故は起こりうるということ。いまも1号~4号機は危うい状態であり、廃炉に向けて40年以上の闘いになる。
汚染水管理の失敗から漏洩事故が起きた。1日400トンもの地下水が流入している。労働者の不足と被ばく労働が避けられないが、被ばくを低減する観点から廃炉計画を全面的に見直す必要がある。しかし、事故原因を明らかにせず、他の原発を止めさせないための矮小的な議論が行われている。
現地報告 角田政志さん(福島)
福島市内に居住しているが、現在も1.6~2.3マイクロシーベルトもあり、子どもは庭で遊ばせない。庭は荒れ放題だ。年間1ミリシーベルトへの除染は進まない。震災後、臨時休校したままが10校、再開した28校も生徒が減少した。双葉地区では生活する環境がない。
福島市内では身の回りに放射能が存在しているにも関わらず、体力回復などの安心意識作りが進められている。子どもの健康調査を通じて、①安心して健康を守るということ、②現状をしっかり認識すること、③全国の仲間とともに考え行動をすることが大切だとわかった。
各地報告 菅原晃悦さん(宮城)の報告
自然災害に原発事故が加わると、復旧・復興は困難になる。宮城でも10万人の避難者や廃棄物の除去という課題を抱えている。特に高レベル放射性廃棄物の課題が障害になり、復旧が大きく立ち遅れてしまう。
除染や復旧も資材不足、人手不足等の課題があり、入札不調となって進まない現実がある。低レベル廃棄物でさえ、やっと一時保管場所が決まる状況だ。対応が先延ばしされれば、住民のいない復興となってしまう恐れがある。
参加者からの質疑・意見として、「集団疎開」などの対応、除染作業の効果とゼネコンの利権、食品汚染で国の基準が守られていれば良いのか、被ばく労働者との連帯、国の責任で健康管理手帳交付の運動をすべきなどの他、浪江町からの避難者として国や東電への怒りが語られた。
最後に運営委員から、事故が今も進行中であること、廃炉には40年以上もかかる闘いであることが明確になった。そのなかで「フクシマ」を忘れないということの意味の重さを痛感した。全体で「脱原発を達成しなければならない」という決意を確認した、というまとめで閉会した。
2013年08月05日
8月5日に広島市内で開かれた「被爆68周年原水禁世界大会・広島大会」の2日目は分科会や国際会議、メッセージfromヒロシマなどがおこなわれ、ビデオにまとめました(8分50秒)
2013年08月04日
今年の「被爆68周年原水爆禁止世界大会・広島大会」は、「折鶴平和行進」から始まりました。青森での「4.9反核燃の日行動」、沖縄での「5.15平和行進」を起点とした「非核平和行進」が全国各地で取り組まれ、8月4日に広島平和公園の資料館前に到着しました。そこに全国各地の参加者が合流し、「折鶴平和行進」として、広島大会の開会総会会場まで行進しました。
資料館前には各都道府県・市民団体などの代表や子ども達など3500人が集まり、原水禁世界大会への海外ゲストを先頭に、横断幕やプラカード、旗などを手に、「核兵器をなくそう!」「原発の再稼働を許さない!」「核も戦争もない平和な21世紀を作ろう!」などとシュプレヒコールを繰り返しながら、行進しました。
広島県立体育館で拓かれた開会総会では、最初に原爆や原発など核の犠牲になった多くの方々への黙とうから始まり、主催者あいさつで川野浩一・大会実行委員長(原水禁議長)は、「昨年の衆院総選挙に続き、7月の参院選挙でも勝利した安倍政権は平和憲法の改悪を企てている。平和が当たり前でなくなっている。改悪を絶対に許してはならない」と述べたうえで、「私たちは核と人類は共存できないの信念のもとで運動してきた。しかし、安倍政権は命より金を優先し、原発再稼働を進めている。福島原発事故は収束していない。さらに運動を進めよう」と呼びかけました。
来賓として連帯あいさつに立った高橋睦子・連合副事務局長は「核廃絶とヒバクシャ支援を求めて、連合もともに運動を進めていく。また原子力エネルギーに依存しない社会をめざして取り組む」と述べました。また、湯崎英彦・広島県知事のメッセージや松井一實・広島市長(代理)のあいさつも受けました。
被爆者の訴えでは、広島県被団協の柳川良子さんが女学生の時に被爆をした、その惨状を生々しく語りました。その上で「戦争は多くの人の命を奪った。もうこのような苦しみを、これからの後世の人達にさせてはならない。核兵器を使うことのないように、これからも伝えていきたい」と語りました。
また、原発事故を受けた福島から、渡辺英明・福島県平和フォーラム事務局長が「事故から2年5ヶ月が過ぎたが、収束も除染も進んでいない。汚染水の垂れ流しも発覚した。しかし、福島以外では事故のことが風化しているのではないか。再び福島から放射能問題をアピールしていきたい」と訴えました。
毎年、全国各地の高校生が国連欧州本部を訪ね、核廃絶を求める署名提出と国連大使のアピールを行っていますが、その第16代高校生平和大使に広島から選ばれた小櫻智穂さん(広大附属高校1年)は「被爆者の証言を聞いて、核兵器をなくすべきだと本気で考えて、署名活動を始めた。未来に希望をもちたい」と強調。同じく平和大使の松岡朱音さん(県立広島高校2年)も「最近は広島でも原爆投下の日時を知らない若者が増えている。生の声で伝えていくことが大切」と抱負を語りました。
大会の基調提案を藤本泰成・大会事務局長が行い「この大会で、核時代に終止符を打つ決意を固めよう」と、「核兵器廃絶に向けた動きを加速させよう」「原子力政策の転換を」「ヒバクシャの権利確立」の3つの課題を中心に、「原水禁運動に確信をもって取り組もう」と呼びかけました。
海外方のゲストとして、大人14人、子ども4人が紹介され、代表してドイツの緑の党のイェンス・ケンツィアさんが「ドイツは2022年に原発の全廃を決めた。これに圧倒的多数の国民が支持している。自然エネルギーはもう25%を占め、原発を抜いた。日本も早く転換すべきだ」と訴えました。
大会は最後に「原爆を許すまじ」を参加者全員で合唱し、佐古正明・広島実行委員長の閉会あいさつで1日目を終了しました。大会は2日目に分科会や国際会議、フィールドワークなどを行い、最終日の8月6日に「ヒロシマアピール」を採択することになっています。
2013年08月04日
2013年8月4日に広島市で開かれた「被爆68周年原水禁世界大会・広島大会」の1日目の折鶴平和行進と開会総会の様子をビデオにまとめました(9分45秒)。