2013年12月

止めよう再処理!共同行動ニュース12/25号の記事から

2013年12月25日

まさに無責任!「エネルギー基本計画案」
 
国民の声もまともに聴かない安倍政権
 今月13日、経済産業省の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会は、安倍政権の新たなエネルギー基本計画の原案をとりまとめ、今後、これに対してパブリックコメント(国民の声の反映?はこれだけ)、関係閣僚会議を経て、来年1月には閣議決定を目指すことを確認しました。原案では原子力を、エネルギー需給構造を支える「基盤となるベース電源」として位置づけ、原発推進を一段と鮮明にしました。前政権の民主党政権時代に国民的議論(少なくともパブリックコメントの他に討論型世論調査を行い、パブリックコメントの8割以上が脱原発の意見を寄せ政策決定に影響を与えた)を踏まえて決めた「2030年代原発稼働ゼロ」の政策を、国民に問うこともないままいとも簡単にひっくり返しました。議会での多数を背景に政権のおごりともいうべき強引な原発推進政策です。

問題だらけの計画案
 計画案では、「原発依存度を可能な限り減らす」としながらも、どう減らしていくかも示さないまま、「必要な規模を確保する」との曖昧な表現でごまかし、さらに原発の新増設やリプレイス(建て替え)などについては記述することもなく、判断を先送りし将来に含みをもたせました。そのことは、「規模を確保するということは、事実上新増設を認めている」(関西電力副社長・生駒昌夫)との発言も飛び出しているように、結局は原発の延命・新増設へ道を開くものとなっています。稼働40年で廃炉にする原則にも言及することもなく、「原発の依存度を可能な限り減らす」とする具体策そのものの政策が全てあいまいなまま、原発推進だけが全面にでるものとなっています。
 核燃料サイクル政策は、「着実に推進」と位置づけていますが、これまでの現実をみれば、すでに「破綻」している核燃料サイクル政策は、完結し順調に動くことの保証はまったくありません。むしろ巨額の費用を費やしている核燃料サイクル(例えば六ヶ所再処理工場にはすでに2兆2千億円以上)にさらに無駄な費用を投入することとなり、国費や電力料金の浪費でしかありません。あまりにも核燃料サイクルが置かれている現実を見ていない「無責任」なものとなっています。破綻が明らかな核燃料サイクルの中核ともいえる、六ヶ所再処理工場がいまだ完工しておらず、稼働時期も定かでもありません。
 一方で、動かない中で年間1100億円ともいわれる維持管理費が費やされ、まさに金喰い虫の施設となっています。その再処理工場の費用の3割とも4割ともいわれる費用を支えているのが東京電力です。しかし福島原発事故以降、東京電力の財務体質は悪化し、今後も同じように六ヶ所再処理工場を支え続けていくことなど期待することはできない。そのことは六ヶ所再処理工場の財務基盤を大きく揺るがすことにつながります。無駄な経費をこれ以上核燃料サイクルに投じるよりも、福島原発事故の終息に充てるべきです。東電にしても六ヶ所再処理工場で出来てきたプルトニウムをどのように使うのかさえ明らかでなく、例え使ったとしても極めて限定的なものでしかなく、六ヶ所再処理工場の存在意義などほとんどありません。むしろ東電の原発そのものが動くことすら見通せない中では、ますます核燃料サイクルそのものの意義はありません。まして第二再処理工場の計画など現実不可能な計画でしかありません。
 また高速増殖炉もんじゅ開発も「実施体制を再整備する」としてこれも継続することが明示されていますが、これまでナトリウム漏えい火災事故など様々なトラブルを繰り返し、杜撰な管理体制や組織体制が問題となってきました。それをさらに引きずろうとしています。そもそももんじゅの「高速増殖炉」開発が、最近、「増殖」が抜け「高速炉」と表現が変わり、プルトニウムを「増殖」するという本来の意義すら放棄されています。さらに高速増殖炉開発の実用化の目途すら明らかにされない中で強引にもんじゅ開発が進められようとしています。何のためにもんじゅ開発を進めるのかの明確な説明もないまま政策の失敗を認めず、巨額な国費(すでに1兆円以上を投入、現在維持管理費に1日5500万円もかかる)を費やし、さらにそれに追い打ちをかけようとしています。
 高レベル放射性廃棄物問題に対して、「国が前面に出て取り組む」としてこれまでの自治体からの公募方式から国が主導して候補地を選定しようとしています。巨額の交付金をつけて候補地を誘致しようとしていますが、地震大国日本の中で、10万年以上も安定した地層など今の科学で見つけ出すことすら不可能というべきです。かの小泉純一郎元総理もそのことで「即原発ゼロ」を訴えています。

無責任な計画案の撤回を!
 再処理、高速増殖炉、高レベル放射性廃棄物など核燃料サイクルをめぐる状況は、「破綻」をし、実現性がまったくありません。いたずらにこれまでの政策の失敗を認めず、無駄な税金や電力料金を投入し続けることは、まさに「無責任極まりない」といえます。本来なら福島原発事故の終息に全力をあげるべき時に、このような無責任な政策を掲げることは許されません。エネルギー基本計画案の撤回を強く求めます。

「エネルギー基本計画案」に関わるパブリックコメントは2014.1.6まで

2013年12月16日

 12月13日に、経産省の諮問機関「総合資源エネルギー調査会」が了承した「エネルギー基本計画案」に関して、パブリックコメントが2013年12月6日から2014年1月6日までの期間で求められています。計画案は、「原発を基盤となるベース電源」と位置づけるなど、これまでの「脱原発依存」の考え方を否定し、原発推進に再度舵を取るものです。 原水禁は、「核と人類は共存できない」として、一貫して原子力の商業利用にも反対の立場で運動を展開し、2011年3月11日の福島原発事故以降は、「一人ひとりの命に寄り添う政治と社会」を求めて「さようなら原発1000万人署名」の運動を中心に「脱原発」のとりくみを進めてきました。市民社会の世論は、圧倒的に「脱原発」を志向しています。「さようなら原発」の運動は、そのことを明確にしていました。今回の計画案は、市民社会の意見を全く無視した、許されないものです。これまで、欺瞞に満ちた「安全神話」で原発政策を推進し、福島原発事故を起こした自民党政権は、全く反省の色がありませんし責任をとることがありません。これまで多くのパブコメに寄せられる意見は、政府与党によって全く無視されてきましたが、パブコメの数と反対の意見をしっかりと示していくことも大切であり、市民社会の「脱原発」の声を明らかにする必要があります。
 

 「エネルギー基本計画案」に関わるパブリックコメント

○期  間  政府のパブリックコメントの受付期間内(2014年1月6日まで) 

○計画案に反対する理由

①市民社会は「脱原発」を望んでいる。

②原発の依存率を可能な限り低減させるとしながら、規模を確保するとしていることは、原発依存を進めることに他ならず認められない。

③原発政策を推進すると、使用済み燃料はが原発サイト内のプールからあふれ出す   状況となる。どのように処分しようと、将来の日本社会に大きな負担を押しつける   ことになる。現在、最終処分をどうするか決定できていない中で、放射性は廃棄物を増やし続けることは認められない。

④原発の安全性は、全く確保できていない。地震国日本において原発政策を推進すること自体が間違いであることは、福島原発事故が証明した。

⑤次に原発事故が引き起こされれると、それこそ日本経済は重大な危機に陥る。特に、福井県の原発、静岡県の原発における事故は、関西経済圏や首都圏を崩壊させる可能性がある。現在の経済対策のために、そのような修復不可能なリスクを背負うべきではない。

⑥近視眼的な経済対策のためにリスクの高い原発を動かすべきではなく、将来に向けた経済対策のためにも、新しいエネルギー推進政策に力点を置くべきである。

⑦核燃料サイクル計画の破綻を認め、「高速増殖炉もんじゅ」と「六カ所再処理工場」の計画を放棄すべきである。これ以上無駄な事業に税金を投入すべきではない。

※以上のような理由を持って、「エネルギー基本計画案」に反対のパブリックコメントを送付して下さい。

○要請方法

1.ホームページ上から
(1)e-govから提出(WEBフォーム)のトップページから
(2)パブリックコメント(意見公募手続)の下、右側→「意見公募案件を閲覧する」をクリック
(3)□工業/エネルギー、資源の中の→ 新しい「エネルギー基本計画」策定に向けた御意見の募集について(案件番号:620213015)をクリック
 (  )
(4)一番下側の「意見提出フォーム」をクリックし、意見を記入する

2.FAXで提出 【03-3501-2305】 
3.書面で提出 【〒100-8931 千代田区霞が関1-3-1 資源エネルギー庁長官官房
            総合政策課 パブリックコメント受付担当】

問い合わせ先

   資源エネルギー庁長官官房総合政策課
    メール senryaku@meti.go.jp

参考
「エネルギー基本計画に対する意見(案) 平成25年12月 総合資源エネルギー調査会  基本政策分科会」(12月13日版) PDFファイル 
 

「エネルギー基本計画案」に対する抗議声明

2013年12月14日

2013年12月14日

「エネルギー基本計画案」に対する抗議声明

原水爆禁止日本国民会議
議  長 川野 浩一

 経済産業省の諮問機関である総合資源エネルギー調査会は、12月13日、国の中・長期的なエネルギー政策となる「エネルギー基本計画案(以下基本計画案)」を了承し、原発を「エネルギー需要の安定性を支える基盤となる重要なベース電源」と位置づけた。パブリックコメントと討論型世論調査を行い、「脱原発」を求める多くの市民の意見を前に「2030年代に原発ゼロ」とした、民主党前政権の「革新的エネルギー・環境戦略」を全否定した。原発推進派で委員を固め、重大な懸念を少数意見として排除し、市民社会の「脱原発」の声にも一切耳を貸さない姿勢を、原水禁は決して許さない。

 基本計画案は、原発への依存率を「可能な限り低減させる」とする一方で、「必要とされる規模を確保する」としている。河瀬一治敦賀市長は、新増設や建て替えの明記がないことを「残念」としたが、生駒昌夫関西電力副社長は、「規模を確保すると言うことは、事実上新増設を認めている」との解釈を明らかにし、「われわれの意見を反映している」と語った。今、電力会社や自治体がやるべきことは市民の安全のために原発を止めることだ。自身の利益にしか言及しない姿勢は許されない。
 放射性廃棄物処分問題では「将来世代に先送りせず、現世代の責任で対策を進める」としたが具体策はない。すでに国内には1万7千トンもの使用済み核燃料がある。このまま原発を動かすなら、早い時期に核燃料プールは満杯となるが、何万年という管理が必要な放射性廃棄物を安全に処分する場所は、地震国日本には見あたらない。どう処分しようが、結局は将来世代の負担になる。

 核燃料サイクル計画については「着実に推進する」とし、杜撰な保安体制や事故の続発で停止している高速増殖炉「もんじゅ」も、研究終了との民主党政権の方針を覆し、「実施体制を再整備する」とした。高速増殖炉研究の世界の情勢やこれまでの経緯を考えるなら、この判断も理解できないものである。本格稼働の延期を繰り返してきた六カ所再処理工場も含めて、使う当てのないプルトニウムを作り出す計画は、「核不拡散」の観点からも許されない。核燃料サイクル計画にいったいどれほどの巨額な費用をかけてきたのか。毎日5500万円、年間200億円とも言われる「もんじゅ」の維持費、福島原発事故の被災者の置かれる現状を考えるなら、こんな答えは出せるはずがない。

 茂木敏充経産大臣は、民主党政策を批判し「原発ゼロは現実性のない戦略」というが、核燃料サイクル計画の破綻や放射性廃棄物処分問題、地震大国日本を考えるならば、原発推進を基本にしたエネルギー政策に現実性はない。一部の企業や人間の利益のみを優先し、現実的問題を将来に先送りにして、市民社会の声を一顧だにしない姿勢からは、日本の将来への展望は開けない。「原発依存の低減」と言いながら原発推進をもくろむ姑息な政治に、日本の将来を任すことはできない。福島原発事故に学ぶなら、「脱原発」は当然の帰結だ。政治は、将来の日本社会をどう考えるかの大局に立って「脱原発」を判断すべき時を迎えている。誰もそこから逃れることはできない。

 原水禁は、原発を推進しようとする政府に強く抗議するとともに、「一人ひとりの命に寄り添う」ことを基本に、脱原発社会の実現に向けて市民社会と連帯し、いっそうのとりくみをすすめることを確認する。
 

福井県敦賀市で「'13もんじゅを廃炉へ!全国集会」開催される

2013年12月07日

報告

もんじゅ/日本原子力開発機構への要請書

2013年12月07日

2013年12月7日

日本原子力研究開発機構 様

要 請 文 

 今日、私たちは「もんじゅを廃炉へ!」の強い思いを持って、全国各地から集まりました。開発から半世紀、1兆円という莫大な国費を投じてきた高速増殖炉「もんじゅ」は、一体、国民に何をもたらしたでしょうか。プルトニウム増殖の夢は幻と消え、あるのは巨大地震による大事故の現実です。
 1995年12月、ナトリウム火災事故を起こして停止、2010年に3トンもの炉内中継装置を落下させて再び頓挫し、2012年、1万3千件もの機器の点検漏れが発覚、原子力規制委員会も「こんな組織にまかせられない」とあきれ、「もんじゅ」の運転再開準備の停止を命じました。
 しかし文科省は8月8日、組織と名称を変えて「もんじゅ」の研究開発を継続すると発表しました。
 18年間、事故続きでもまともに動いていない炉を再び動かすなど世界に例がなく、言語道断、正気の沙汰ではありません。「原子力依存からの脱却」というのなら、核燃料サイクル政策とは矛盾します。再処理も頓挫し、実用化の目処も全くない中で、どこをどう探して「もんじゅ」を継続する大義名分はかけらもありません。
 原発はひとたび大事故を起こすとどうなるか、今、私たちは福島で目の当たりにしています。安倍総理の発言とは裏腹に、汚染水は「毎日600億ベクレル」外洋に放出されていると9月19日、報道されました。もはや制御不能ではないかと絶望的になってしまいます。
 まして「もんじゅ」には1400キロのプルトニウムと1700トンのナトリウムがあり、止まっていても安心できないのです。一刻も早く「もんじゅ」の廃炉を決断し、高速増殖炉開発計画から撤退されるよう強く求めます。

2013年12月7日
「もんじゅを廃炉へ!全国集会」参加者一同

 

もんじゅを廃炉へ!全国集会が開かれました

2013年12月07日

   高速増殖炉「もんじゅ」は、1995年12月8日のナトリウム漏洩事故をはじめ、2010年8月2日の炉内中継装置の落下など次々と大事故を起こし、昨年11月には1万点を超える機器の点検漏れが発覚、原子力規制委員会によって無期限の運転禁止を命じられています。そのナトリウム漏洩事故から18年目を迎える12月7日、「’13もんじゅを廃炉へ!全国集会」が福井県敦賀市で開催され、県内外から1200名が参加しました。

 「もんじゅ」を臨む白木海岸では、冷たい雨が降りしきるなか屋外集会とデモが行われ、その後日本原子力研究開発機構に申し入れを行いました。午後には「もんじゅ廃炉を求める全国集会」が開かれ、水上賢市さん(原子力発電に反対する福井県民会議)、鎌田慧さん(ルポライター)、武本和幸さん(柏崎刈羽原発反対地元三団体)、伴英幸さん(原子力資料情報室)、末田一秀さん(反原発運動全国連絡会)らが講演しました。屋内集会後には、敦賀駅前までのデモも行い、もんじゅの廃炉、軽水炉原発の再稼働反対を訴えました。

 この7日の集会に先立ち5日には岐阜県揖斐川町、滋賀県、滋賀県高島市、滋賀県長浜市にたいして、もんじゅの運転再開に反対し、実効性のある防災計画を策定するよう要請を行い、6日には福井県、福井県敦賀市にたいして、もんじゅの是非をあらためて県民に問い直すとともに、実効性のある防災計画の立案するよう要請しました。

■関係自治体の首長への申し入れ書 県内 県外
日本原子力開発機構への要請書

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