2014年8月
2014年08月12日
広島大会第2分科会
脱原子力2─再稼働問題と日本のエネルギー政策
質疑・討論のまとめ
①(大阪・若狭ネットワーク)大飯原発再稼働裁判の差し止め判決は画期的だ。この判決を受け、国の責任で健康手帳を配布させないといけない。再稼働について規制庁と交渉したが、規制庁は福島原発事故を教訓化しようとしない。全ての原発を止めるまでがんばりたい。
②(福島)私たちは福島原発事故によるヒバクシャであり、震災の被災者だ。第1原発事故は人災であり、未だ13万人が避難しており、事故から4年近くが経過するが、国の責任は重大だ。第2原発が未だに廃炉にならないのはありえない。国は原発が安全だと言ってきたが、事故などを隠してきた。国は中間処理場を計画中だが、最終処分場が決定していない。国は県民が納得できる説明をすべきだ。風評被害も地元紙で報道されているが、他県では取り上げられていない。震災関連死も増えてきており、何もしない国・東電は許せない。
③(広島)マスコミは放射能被害を小さく見せようとしている。原発の優遇政策が地元の意思を踏みにじっている。この実態を知らせるためにどう取り組んだらいいのか。
(藤井石根さん)実態を知らない人が多い。原発と人類は共存できない。自分が生きている間に大きな事故は起こらないという無責任な考えを改めるべきだ。集会や取り組みに参加していない人に現実を知らせていく必要がある。
(西尾漠さん)風評被害が拡大したのは国・東電の責任だ。これをきちんと伝えていくしかない。優遇政策も簡単な話ではないが、きちんと伝えていくべきだ。
④(大阪)福井判決は福島事故を深刻に受け止めた結果だ。しかし、福島事故で知らない事が多い。学校でも教えるべきだ。
⑤(東京)健康被害で広島、長崎の経験を教訓化するには放射線被害をしっかり伝えることだ。福島で子どもたちの肝機能低下や突然死の増加が報告されている。調査結果の事実を知らせるべきだ。
⑥(愛媛)電力会社はなぜ原発の廃炉を決定しないのか?国はなぜ廃炉を行政指導しないのか?指導すると賠償責任があるのか?
(西尾漠さん)福島県の全自治体はやめろと言っている。外国では例があり、賠償責任になった。だから国は何も言わないし、会社も様子見をしている。
⑦(山口)上関原発建設は反対運動で止まっているが、知事が交代して答弁が変節したことがあった。建設計画がこれ以上進まないように取り組んでいきたい。
(報告=部落解放同盟・高橋定)
2014年08月12日
広島大会第3分科会
平和と核軍縮1─核拡散とプルトニウム利用政策~NPT再検討会議に向けて
最初に長崎大学核兵器廃絶研究センターの鈴木達冶郎教授から「プルトニウム利用と核不拡散問題 日本の核燃料サイクル政策は変われるか」と題してお話をいただいた。
日本はプルサーマル計画、核燃料サイクル計画に固執しており、使用済み核燃料も資源として扱われている。そして、プルトニウムは増え続けている。使用済み核燃料を廃棄物として扱う考え方の転換と法的な整備が必要である。
海外ゲストのジェイムス・アクトンさんからは、国際的な視点から日本の核燃料サイクル計画などがどのように見られているかということと、アメリカの使用済み核燃料の状況についてのお話をいただいた。
アメリカでは、使用済み核燃料はゴミとして扱われていて、充分な冷却期間の後、ガラス固化体などの乾式処分をした上で、最終的には地層処分などの処理を行う計画となっている。
田窪雅文さんからは、二人の話の補足と、日本の核燃料の再処理について話をいただいた。
三赤舎からは、「アメリカで兵器級プルトニウムwpMOX燃料に加工・使用するという話があるが進んでいるのか」という質問や、「NPT再検討会議に向けて、プルトニウムや核燃料のもたらす影響を強く発信すべき」などの意見があった。
最後に、使用済み核燃料の現状を伝えることや、核不拡散の署名運動などを進めることを確信しました。
(報告=自治労・小山芳彦)
2014年08月12日
広島大会第4分科会
平和と核軍縮2─アメリカの核戦略と東北アジアの非核化
秋葉忠利・元広島市長は次の様に話した。
第一次世界大戦から今年で100年。その教訓、遺産といえる大切なものを話したい。AFSという高校生の団体がある。第一次大戦のときパリにいたアメリカの青年たちが、救急車のドライバーをボランティアでやった。第二次大戦でもやった。第一次大戦の後、戦争を起こさないボランティアが出来ないだろうかと考えた。それには、高校生の時に留学させることだ。生活の経験、体を使っての経験をさせることが大切だ。はじめは、アメリカ対1国だけだったが、今では50ヶ国に拡がった。戦争をきっかけに起こった運動であるAFSの存在意義は世界平和だ。
69年間の平和運動を振りかえって、第一回原水禁大会から、キューバ危機を経て部分核停止条約、ニューヨークの100万人集会、国際司法裁判所の核は国際法違反判決。今年はマーシャル群島の提訴がある。ヒロシマ・ナガサキ以降核兵器は使われていない。大国間の戦争もなかった。それは我々の力になる。これからは、被爆者の体験を基盤に未来を考えていく。
核兵器の非人道性をつなげることが重要だ。全面核戦争になれば、人類の滅亡だ。科学者の予言が事実になっているチェルノブイリ、福島でそれが確認された。
我々は、被爆者に対し義務を負っている。あれだけの体験をして、希望にむけた実践をしてきた。これに答えるために、被爆者の生きている間に核兵器の廃絶をする。核のために使われている10兆円を、異常気象のために使うべきだ。2015年のNPT再検討会議にむけて、誠実な交渉を核保有国に迫ろう。
湯浅一郎さん(ピース・デポ代表)は次の様に話した。
安倍政権の軍事優先路線で安定はない。ヨーロッパは、冷戦構造はなくなりヨーロッパの国同士の戦争はなくなった。アジアは不安定なままだ。朝鮮半島は分断したままで、休戦協定のままだ。日本人は、これを認識する必要がある。
境界も相互の了解のないままで、時々衝突が起こる。自国の安全を軍事によるとすると、相手国も軍事増強になる。終りのみえない状況が今も続いている。北東アジア非核地帯に賛同する世論をつくっていく運動を続けていく。
ポール・マーチンさん(米国ピースアクション)は次の様に話した。
核兵器は1945年以降13万発造られ、今16300発が保有されている。7300発を備蓄し、1900発が舶に配備、3000発が予備、2400発が解体待ち。2018年には1500発に制限される。
財政難により高価な核維持はむずかしい。オバマ大統領はロシアと協力し、核を減らすと言明した。退陣前に出来ることを祈る。アメリカは第二次大戦後、日本の憲法に関わったが、9条改正に圧力をかけてきた。PKO、アフガン、イラクへ自衛隊の出動、在日米軍への財政援助等々だ。お互いの国で、人々の考えを共有することが大切だ。原水禁とピースアクションは今後も共に政府に圧力をかけていこう。
参加者からは、神奈川から原発は止まっていても横須賀を母港とする原子力空母が動いている現実の報告があり、沖縄からはオスプレイの実態や本土でも訓練がはじまっている報告がされた。
(報告=I女性会議・桑原輝子)
2014年08月12日
広島大会第5分科会
「ヒバクシャを生まない世界に1-世界のヒバクシャの現状と連帯のために
討論の特徴
豊崎博光さんは「被ばく:世界と日本の人々の暮らしへの影響」、田城明さんは「続く核時代の負の遺産」と題して講演した。
ヒバクシャの現状について、豊崎さんは「ウラン鉱石の採掘労働者」の被ばくについて、労働者のみならず作業服から家族も被ばくしていることや、採掘後も住民は被ばくし続けていること、さらにはアメリカなどの「大国による核実験」は、すべて先住民族の土地で行われ住民が被ばくしていることなど、人々の人権がないがしろにされるのが被ばくであると強調した。また、放射線は危険・有害であること、余計な被ばくをしないという意識を持たないとヒバクシャを増やしてしまうと警告した。
田城さんは、広島・長崎以後のヒバクシャについて、放射性物質を使った米国での人体実験として、①妊婦への放射性鉄の投与、②囚人へのエックス線照射、③ブラジルでの医療用放射線源による被曝など、あまり知られていない事例を紹介した。
続いて、補償法について、田城さんからは、原爆投下から「空白の10年」と言われる政府からの援助がなかったことから、原水爆禁止運動や日本被団協の結成により、原爆医療法や原爆被爆者援護法が制定された経緯が説明され、認定以外のヒバクシャはかなりいるはずだと述べた。
豊崎さんは、マーシャル諸島共和国では、人々の暮らしなどの損害も査定し補償している一方で、広島・長崎の被爆者に対しては、「政府・加害者が勝手に被害の範囲を決めてしまう」として、国による「切り捨て」を厳しく批判した。
最後に、「ヒバクシャを生まない」ために、核の軍事利用も平和利用もやめるしかない、広島・長崎の被爆者らの核兵器廃絶の訴えは、核兵器禁止条約を求める新たな潮流を作り出している。被爆国日本がそのリーダーシップを発揮すべきである。核も戦争もない世界の実現のために、私たちは、「戦争する国」をめざす集団的自衛権行使容認や原発「再稼働」・核燃料サイクルなどの問題に対して、各地から運動を創り上げることを確認し、分科会を終えた。
(報告=北海道・長田秀樹)
2014年08月12日
広島大会第6分科会
ヒバクシャを生まない世界に2─ヒロシマからフクシマへヒバクシャの課題
質疑・討論の内容
①(大阪)被爆者援護法の具体化をスタートさせた。放射能健診の実施を求める署名を100万を目標に現在まで17万集約した。原発立地自治体からも署名が届いている。
②(大阪)講師の話を聞いて国の責任が問われていると思った。被爆者手帳などの課題は今後の福島の課題につながる。どう取り組んでいったらいいのか。裁判は一審は負けた。現在は福岡高裁で審議している。
③(福島)私の周りにも鼻血や脳梗塞、急性白血病などが多い。食事をめぐって食べていいか悪いか、家族が分断させられている。補償金が月10万円だが、高いと思うか。私たちが声を挙げて、行動をつくっていかなければならない。
④(大阪)広島、長崎、福島を風化させてはならない。再稼働に反対していかなければならない。
最後にまとめとして、「被爆者援護法を社会補償から国家補償に」「被爆二世問題」「福島の課題」「広島、長崎、福島を結びつけていく。風化させてはならない」「当事者だけの運動に終わらせてはならない。粘り強く運動を作っていくことが大切だ」と確認した。
(報告=九州ブロック・前海満広)
2014年08月12日
広島大会第7分科会
「見て、聞いて、学ぼうヒロシマ」
参加者のほとんどが原水禁世界大会には初めての参加となりました。原爆資料館元館長の原田浩さんから講演を受けました。原田さんは被爆者としては最後の原爆資料館の館長という立場から、広島への原子爆弾投下に関する基本的な知識とあわせて、ご自身の6歳のときの被爆体験をお話してくださいました。
原田さんは、原子爆弾の特徴として、熱線、高熱火災、爆風、放射線を挙げ、それらによって人体が無残な状況になったこと、資料館では見るに耐えない被爆者の状況をそのまま展示するわけにはいかなかったことなどを説明されていました。また、熱線で建物に焼きついた影について、館長時代に2度ほど「私の身内だ」と言ってきた人がいたとのことです。
原田さんは6歳のとき、広島駅で被爆しました。駅の屋根が落ちてきて、父親が上に覆いかぶさったことで助かったとのことです。逃げる途中、水がほしいという人に足をつかまれた際、振り払うとその人の肉がずるりとむけたという生々しい実体験をお話されていました。被爆者は助けを求める人を残して自分だけ生き残ったという気持があるなか、なぜ助けられなかったかを思い出したくないため、被爆体験を語る被爆者は少ないとのことです。原田さんの館長時代も、要人を案内する際、広島駅のパノラマがある場所では一呼吸置かないと説明に入れなかったそうです。
その後、会場から質疑を受けました。三重と新潟の参加者(教職員)からは、子どもたちに平和教育を行ううえでの葛藤やぶつかりについて報告がありました。「子どもたちに平和とは何かをどう伝えるか」「教員が子どもたちに戦争について教える際に、被爆者としては何を伝えてほしいか」という質問には、原田さんは「平和とは何かという問いは、立場によって答えが違う難しいテーマ」「原爆を落としたのはアメリカだが、被爆者の気持は、アメリカがあやまるより何より、まずこんな悲惨な経験は二度としたくないという気持がある」というお話をされていました。
また、被爆者にたいする差別についての質問には、「被爆者が悩んだのは結婚や就職の差別もあるが、何より体中のケロイドのこと。差別を危惧して手帳を申請しなかった人が、近年になって新たに申請することがあるが、証人もすでにおらず、事実確認ができないため、審査が極めて困難になっている。手帳は申請せず、誰にも被爆のことは一切言わないままの人がたくさんいるはず」とおっしゃっていました。
原田さんは最後に、平和宣言の内容について、市長の思いが強く反映されたものになっていること、市長だけでなく、市議会議長のメッセージ、広島と長崎のものを比較してみることなどが理解を深めることになると指摘し、分科会を締めくくりました。
(報告=社青同・近藤和樹)
2014年08月12日
長崎大会第1分科会
脱原子力1 ―再稼働問題と日本のエネルギー政策
(1)海外ゲスト報告 イ・ヨンヒ(韓国 カトリック大学社会学科教授)
・韓国では現在、23基の原発が稼働中。5基が建設中。
・低・中レベル核廃棄物処分場の場所は決定したが、高レベル核廃棄物の管理という問題をかかえている。
・高レベル核廃棄物の管理について、一般の人々も含めた社会的対話を通して決定することを決めたが、原子力界の専門家に委ねるべきだと方針転換された
・政府は使用済み燃料の再処理についても発言している
(2)講演 吉岡斉(九州大学大学院比較社会文化研究院教授)
・福島原発事故を契機として、政策転換への動きが始動した。エネルギー・環境会議では「原発に依存しない社会の実現」という方針が掲げられ、「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入すること」がうたわれた。
・自民・公明の連立政権となり、逆コースをたどりつつある。官庁主導で審議が進められ、政府審議会の委員の大半が原子力発電に好意的な人々で占められている。
(3)講演 西尾漠(原子力資料情報室共同代表)
・2014年3月、原子力規制委員会は川内1・2号の優先審査を決定した。7月からパブリックコメントを求めているが、科学的・技術的意見に限定している。しかし、これにとらわれる必要はない。住民避難計画の非現実性も含め、誰も安全を保証しない体質を問題にすべきだ。
・再稼働を許せば、「事故の危険性」「高レベル核廃棄物の増大」等、問題をより深刻化させることになる。
各地報告として、福島、青森、鹿児島、佐賀から原発再稼働の動きと現地の闘いが報告された。
まとめとして次のことが確認された。
・原発が担っていた20~30%の電力量は、今後は人口減少とものづくりからサービス産業へのシフト変更による総電力使用量の自然減、企業や国民一人一人の省エネにより補う必要がなくなっている。また日本は再生エネルギーをうみだす潜在能力を持っている。よって、脱原発社会とエネルギー政策の転換は実現可能だ。
・「科学技術的問題は専門家に委ねるべきだ」という方針の韓国政府と日本政府の姿勢は共通している。再稼働問題と日本のエネルギー政策は国民の生活に密接する問題だからこそ、国民全体で議論していくことが大切だ。
・原水禁運動を若い世代に継承していくことも大切だ。
(報告=静岡・吉田明生)
2014年08月12日
長崎大会第3分科会
平和と核軍縮1―核拡散とプルトニウム利用政策~NPT再検討会議に向けて
初めに、問題提起として、鈴木達治郎さんより「プルトニウム政策は、核兵器と原子力の平和利用との重要な接点で、核兵器廃絶を考える時に避けては通れない問題」という事が言われました。また、福島事故以降、核燃料サイクル問題について「政府の原子力委員会では、“柔軟な対応をすべき”と提言してきたが基本的な施策は変わっていない。その背景には使用済み燃料を“資源”として考え、それを前提に仕組みが作られていることがあり、そこを変えていく事が必要」ということも言われていました。そのためにも「使用済み燃料を“再処理”ではなく“貯蔵を優先”していく事や“直接処分を可能”としていく事が必要だが、現在の日本では“直接処分は違法”となっていて、これを変える仕組みや代替案をきちんと評価する仕組みが大切。現在大量に抱えているプルトニウム在庫を減らしていく事が何よりも必要」といった事が提起されました。
ジェイムス・アクトンさんからも「プルトニウム問題は国際的にも重要な問題。軍縮、核不拡散のリーダーであるはずの日本が、プルトニウム問題で他国に緊張を与えているのが現状。米国も日本のプルトニウム政策に懸念を抱いている」という事が言われました。
田窪雅文さんからも「長崎で使用された原爆にはプルトニウムが6kg使われていたが、現在日本は45tも持っており、さらに六ヶ所の再処理工場を稼働させようとするなど在庫を増やそうとしている。六ヶ所の再処理工場稼働についても、原発の使用済み核燃料が満杯になる中で仕方なく工場で再処理し空きを作ろうというもので、既に当初の計画が成り立たなくなっており何も学んでいない」という事や、「使用済み燃料の貯蔵方法も、乾式貯蔵など中間貯蔵のシステムを整えるべき」との指摘もされました。そして「まずは再処理を辞めると言わないと進まない問題で、余剰プルトニウム=核兵器に繋がるという意識を強めていない」という事が言われました。
これに対し、参加者からは「原水禁の基本方針はプルトニウム利用には反対である筈で、プルトニウムが出来てしまうのは原発が動いてしまうからだ。動かさなければ“今あるものをどうするか”が問題になるのでは」という意見や、「核燃料サイクル=資源増という考え方が強くなっているのではないか」という意見も出され、原発再稼働反対という運動よりも「再処理させない」という運動が弱く、そこを突かれている現状が明らかにされました。「反核兵器・核拡散阻止」という立場からも「再処理させない」という問題意識が大切だという事を全体で確認し、終了しました。
(報告=全農林労組・永井和宏)
2014年08月12日
長崎大会 第4分科会
平和と核軍縮2-東北アジアの非核地帯化と日本の安全保障政策
塚田晋一郎さん(ピースデポ)が「『軍事力によらない安全保障体制』への模索」、前田哲男さん(軍事評論家)が「集団的自衛権の行使容認と東北アジア」と題して講演した。
塚田さんは、核兵器をめぐる世界の状況について、「冷戦時代は約7万発の核兵器も、現在は17000発となった。非国家主体(テロリスト)が核兵器を使う時代だ。国連加盟125か国が、核兵器の『非人道性』を謳う共同声明に署名、日本も賛同した。核兵器禁止条約も作る流れができつつある」として、核兵器のない世界に向けてすすんでいると述べた。また、3(日本・韓国・北朝鮮)+3(米国・ロシア・中国)による軍事力によらない安全保障の枠組みとしての「北東アジア非核兵器地帯」の構想こそ現実的なアプローチであると指摘した。
前田さんは、「安倍政権は軍事力による安全保障を模索し、『対立と威嚇』を演出している」と指摘し、集団的自衛権行使容認の閣議決定について、「あくまでも内閣の意思表明である。世論の半数以上が『反対』『説明に納得でない』と答えている。これからの自衛隊法などの『法改正』を阻止するたたかいをすすめよう」と訴えた。
続いて、海外ゲストのポール・マーチンさん(アメリカ・ピースアクション)が「日本は、1992年のPKOで自衛隊派遣を可能にし、9.11以降、インド洋への派遣やイラク派遣などアメリカの圧力で侵略戦争に参加してきた。しかし、米国人は日米同盟強化に無知である。原水禁・ピースアクションで核のない世界を」と訴えた。
次に、イム・ピルスさん(韓国・社会進歩連帯)は、日本の集団的自衛権行使容認について、「韓国政府は、基本的に同意し、注視するという立場を表明している。マスコミも憂慮するとしながらも、基本的に政府と変わらない姿勢を示している」と指摘したうえで、「行使容認を既成事実として見ていることが問題であり、こうした政府の姿勢を糾弾し、日本の9条を守る運動と共同する歩調を取っていきたい」と述べた。
各地報告では、長崎(佐世保地区労)から、8月1日に佐世保に入港した原子力空母ジョージ・ワシントンについて、「日米軍事一体化の強化をめざし、市民に慣れさせるものだ」として、寄港反対九州ブロック集会などの反対行動について報告があった。
また、沖縄からは、辺野古新基地建設阻止のたたかいについて、「辺野古の海に18年間、くい一本うたせないできた。昨年12月に仲井真知事が埋め立てを承認してから、既存施設の解体工事やボーリング調査のための資材搬入などを行っている。ゲート前の監視行動の時間ははずし、深夜2時に大型トレーナーによる海上阻止行動を阻止するためブイ設置のための資材搬入を行った。また、ゲート前には「鉄板(殺人パット)」を設置した。24時間体制でのたたかいを非暴力でがんばる。沖縄と連帯した行動を」と呼びかけた。
神奈川からは、原子力空母の横須賀港配備について、「41年も配備され、『核密約』により核兵器持ち込みも明らかになった」として、「2015年の原子力空母ロナルド・レーガンへの交代を機に、母港化撤回の運動を強化したい」と述べた。また、オスプレイについて、「『沖縄の負担軽減』を口実に、東日本への飛来が相次いでいる。危険な転換モードでの飛行を市街地上空で行うなど合意違反である。オスプレイ配備させないたたかいを全国で展開しよう」と呼びかけた。
(報告=北海道・長田秀樹)
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