2014年、分科会報告、原水禁大会
広島大会第5分科会 世界のヒバクシャの現状と連帯のために
2014年08月12日
広島大会第5分科会
「ヒバクシャを生まない世界に1-世界のヒバクシャの現状と連帯のために
討論の特徴
豊崎博光さんは「被ばく:世界と日本の人々の暮らしへの影響」、田城明さんは「続く核時代の負の遺産」と題して講演した。
ヒバクシャの現状について、豊崎さんは「ウラン鉱石の採掘労働者」の被ばくについて、労働者のみならず作業服から家族も被ばくしていることや、採掘後も住民は被ばくし続けていること、さらにはアメリカなどの「大国による核実験」は、すべて先住民族の土地で行われ住民が被ばくしていることなど、人々の人権がないがしろにされるのが被ばくであると強調した。また、放射線は危険・有害であること、余計な被ばくをしないという意識を持たないとヒバクシャを増やしてしまうと警告した。
田城さんは、広島・長崎以後のヒバクシャについて、放射性物質を使った米国での人体実験として、①妊婦への放射性鉄の投与、②囚人へのエックス線照射、③ブラジルでの医療用放射線源による被曝など、あまり知られていない事例を紹介した。
続いて、補償法について、田城さんからは、原爆投下から「空白の10年」と言われる政府からの援助がなかったことから、原水爆禁止運動や日本被団協の結成により、原爆医療法や原爆被爆者援護法が制定された経緯が説明され、認定以外のヒバクシャはかなりいるはずだと述べた。
豊崎さんは、マーシャル諸島共和国では、人々の暮らしなどの損害も査定し補償している一方で、広島・長崎の被爆者に対しては、「政府・加害者が勝手に被害の範囲を決めてしまう」として、国による「切り捨て」を厳しく批判した。
最後に、「ヒバクシャを生まない」ために、核の軍事利用も平和利用もやめるしかない、広島・長崎の被爆者らの核兵器廃絶の訴えは、核兵器禁止条約を求める新たな潮流を作り出している。被爆国日本がそのリーダーシップを発揮すべきである。核も戦争もない世界の実現のために、私たちは、「戦争する国」をめざす集団的自衛権行使容認や原発「再稼働」・核燃料サイクルなどの問題に対して、各地から運動を創り上げることを確認し、分科会を終えた。
(報告=北海道・長田秀樹)