2017年8月

長崎大会 第7分科会「ヒバクシャ3―被爆二世・三世問題を考える」

2017年08月08日

長崎大会 第7分科会「ヒバクシャ3―被爆二世・三世問題を考える」
 
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講師:中鋪美香(弁護士) 
   振津かつみ(医師)
報告:崎山昇(全国被爆二世協会長)
   平野克博(全国被爆二世協事務局長)
参加者 73名
 
 崎山さんより「国連人権委員会に対する取り組み」に関して報告を受けた。崎山会長は、国連の人権理事会に被爆二世・三世の課題を取り上げさせるためジュネーブに訪問団を派遣した経過について報告するとともに、現在、11月の第28会期に向けて行なっているロビー活動について紹介した。
 
 中鋪弁護士から「被爆二世集団訴訟の意義と展望」と題して報告を受けた。今年の2月に広島と長崎それぞれで訴訟に踏み切っており、被爆者援護法が被爆二世を対象にしていないことは、その生命・健康を脅かすものであり、憲法13条に違反していること、また、国の立法不作為が認められることなど、訴訟の内容について報告された。
 
 また、振津さんからは「放射線の継世代(遺伝的)影響」について、専門家の立場から報告された。遺伝的影響とは正確には継世代的影響のことであり、体細胞の損傷ではなく、生殖細胞の損傷が問題であること、また、マウス実験では「がんなどの疾患になりやすい体質」が伝わることが立証されているが、人での証明は未だにできていないことを述べた上で、「国は健康リスクがないと証明できなければ、人においてもリスクがあると考え、適切な対策をすべき」と述べた。
 
 最後に、平野・全国被爆二世協事務局長より、全国被爆二世協のこれまでの活動について報告があった。放影研の「被爆二世健康調査」に対する取り組みや、国会対策の取り組みなどが報告されるとともに、今後の国連人権委員会や裁判闘争、フクシマとの連帯についても提起され、組織強化に繋げていく取り組みの方向性が示された。
 
 裁判の見通しに関する質問などが出され、裁判自体は長期間かかるものであり、それを通じた幅広い運動展開が必要であること、また、勝訴のためには世論形成が重要であり、裁判傍聴など様々な取り組みを通じて広く問題を訴えていく必要性が確認された。また、被爆二世に対する差別の質問や、静岡や東京では被爆二世のがん検診が行われており、自治体での取り組みも重要だという意見もあり、活発な意見交換がなされた。
 最後に、裁判闘争の支援の必要性を確認し、今後も職域での取り組みと地域での取り組みをつなげていくことが重要であるとのまとめを受けて終了した。

長崎大会 第8分科会「見て・聞いて・学ぼう"ナガサキ"」

2017年08月08日

長崎大会 第8分科会「見て・聞いて・学ぼう“ナガサキ”」
 
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証言と講演:山川剛(長崎県被爆教職員の会)
      西岡由香(漫画家)
参加者 140名
 最初に、原水禁国民会議制作のDVD「君たちはゲンバクを見たか」が上映されました。広島・長崎の原爆投下による悲惨な実態が映像を通して感じることができました。
 続いて、被爆体験講話として山川剛さん(県被爆教職員の会)の講演に入りました。山川さんからは教職員出身ということから、戦時中における学校教育が果たした役割や政府の広報が果たす役割として、「ぜいたくはしません」「パーマネントはだめ」「学校校庭での竹やり訓練」などを通して、世論を戦争へと誘導して行く実態が報告されました。
 また、長崎市への原爆投下による悲惨な実態や、自ら経験した原爆被害の肉体的・精神的な恐怖から「二度とヒバクシャを作らない」ために核兵器廃絶を強く訴えられました。
 会場からは、核兵器禁止条約が国連にて採択されたが実効性はどうかなどの質問が出され、山川さんからは「核兵器廃絶元年として実効性を高めて行くために、市民の努力が重要となっていく」との見解が述べられました。
 次に、西岡由香さんの講演に入りました。西岡さんは漫画で平和活動を展開する原動力は、被爆体験者の話を聞くことにより自分の心に被爆を感じたこと。そうした中で原爆は絶対だめと強く感じるようになった。その運動を漫画や紙芝居を通じて取り組むようになった。運動は色々な方法があると述べられました。また、「今日の聞き手は明日の語り手」として運動の輪を広げていきたい。憲法9条改憲の動きがある中で平和を守るためにがんばって生きたいと決意が述べられました。
 最後に、原水禁運動が取り組むべき課題として、安倍政権がこの間強行してきた「特定秘密保護法」「自衛隊の集団的自衛権行使(戦争法)」「テロ等準備罪(共謀罪)の強行」「原発再稼動」などと対峙する闘いと、核兵器禁止条約への日本政府の参加を求める闘いに全国の仲間と連帯して行くことを確認しました。

原水禁世界大会・長崎大会が開会 1100人が参加

2017年08月07日

 

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 8月7日、長崎市の「長崎ブリックホール」で「被爆72周年原水爆禁止世界大会・長崎大会」の開会総会が開かれました。台風の影響で一部の県は開会に間に合わなかったものの、全国から1100人が参加しました。
 オープニングは、現役の医者による音楽ユニット「インスハート」が登場。医療で身体を治すだけでなく、音楽を通して心まで癒したいとの思いで活動を続けており、ステージでは原爆で子どもを亡くした母の思いをうたった「おばあちゃんののこしもの」を熱唱。参加者の感動を呼びました。
 続いて、7月に長崎県内を一周した「第33回反核平和の火リレー」の参加者が登壇し、これからも活動を続ける決意を語りました。
 黙とうに続いて、主催者あいさつに立った川野浩一・大会実行委員長(原水禁代表)は、自らが体験した長崎での被爆について「あの地獄のような光景が目に焼き付いている。原爆は、人間が人間として生きることも死ぬこともできなくするものだ」とその悲惨さを語り、「7月7日に国連で可決された核兵器禁止条約に日本は反対しているが、被爆者を、そして国民を見捨てる行為だ」と安倍政権を厳しく糾弾。「東北アジアの非核地帯化など、核なき世界の先頭に立とう」と呼びかけました。
 大会への海外ゲストを代表し、台湾大学教授で、台湾環境連合で脱原発運動を進めている徐光蓉(シュウ・グァンロン)さんが「核兵器と原発の根本は同じものであり、どちらも絶対悪だ。これ以上、放射性物質が地球上に溜まれば環境や子孫に悪影響を与える」として、2025年に原発ゼロをめざす台湾の動きを報告しました。

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 大会基調の提案を藤本泰成・大会事務局長が行い、核兵器廃絶、脱原発、ヒバクシャの援護と権利拡大への取り組みを提起し、「名もない人々の日常が持つ豊かさを守るために、命の尊厳を大事にする運動を続けていこう」と訴えました。基調提起はこちら
 福島原発事故について、福島県平和フォーラムの村上伸一郎副代表が報告し、3月から一部地域を除いて、帰還が強制され、仮設住宅からの立ち退き、住宅支援の打ち切りなどの政府の対応を批判し、「国や県は責任をもって生活再建を支援するべきだ」と語りました。
 

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「長崎からのメッセージ」として、田上富久・長崎市長が登壇し、日本非核宣言自治体協議会の会長として「核兵器禁止条約ができた源流に被爆者の声があり、それが集まって国連で大きな流れとなった」と述べ、「条約を社会の規範とするために市民が声をあげ続けていくことが必要」と強調しました(写真上左)。
 さらに、核兵器禁止条約」の国連での討議を傍聴した川副忠子さんが、戦争に突入する前からの日本の動きや、原爆投下、敗戦後の平和を求める運動や被爆者の活動などについて、写真等を用いて説明しました。
 また、原爆の被害者が当時の旧長崎市内に限られ、近隣の自治体に住む人たちが被爆者認定されなかった問題について、「被爆体験者訴訟原告団」の岩永千代子さんと松尾榮千子さんが証言。被爆直後の爆風の中を逃げ回り、その後、友達を白血病で亡くし、自らもがんと闘っていることを語り、訴訟を通じ、国や県、市が一刻も早く認定するよう求めていくと述べました(写真上右)。
 メッセージの最後は高校生からで、20年前から続けられている「高校生平和大使」の活動について、昨年の第19代大使から活動報告を受けた後、今年の20代大使に選ばれた15都道府県の22人が一人一人抱負を述べました(写真下)。また、2001年から長崎で始まった「高校生1万人署名運動」も全国に拡大し、これまでに140万人以上の署名を国連に届けたことが報告され、全員で活動のテーマソングを歌って運動の継続を誓っていました。

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 最後に「原爆を許すまじ」を斉唱し、開会総会を終了しました。8日には長崎市内を中心に分科会やひろば、フィールドワークなどが行われ、9日に閉会総会と非核平和行進を行なわれます。
 

 

被爆72周年原水禁世界大会・広島大会「ヒロシマアピール」

2017年08月06日

 1945年8月6日午前8時15分、広島に投下された原子爆弾は、強烈な「熱線」、「爆風」、「放射線」のもと、その年の内に14万人もの生命を奪い去りました。あの日から72年、被爆者の高齢化は進み、限られた時間の中で、援護対策の充実と国家の責任を求めることが急務となっています。さらに、親世代の原爆被爆による放射線の遺伝的影響を否定できない、被爆二世・三世の援護を求める運動も重要です。

 7月7日、国連本部で「核兵器禁止条約」が採択されました。私たちが願う「核兵器廃絶」へ向けての歴史的瞬間でした。この条約の前文において「核兵器の使用による被害者(ヒバクシャ)に引き起こされる受け入れがたい苦痛と危害に留意する」や「核兵器に関わる活動で先住民に対する不釣り合いに大きな影響を認識」と、私たちが訴え続けてきた「核廃絶なくして被爆者(ヒバクシャ)の救済なし」や「核絶対否定」の理念が込められており、原水禁運動が国際的に認められた証でもあります。これからは、日本政府に、唯一の戦争被爆国として、全世界の条約批准へ向け、核兵器保有国とその同盟国をリードしていく責任を認識させなければなりません。

 東日本大震災による福島第一原発の事故から6年が経過していますが、いまだ約8万人近い福島県民が避難生活を余儀なくされています。しかし、安倍政権が進める原子力政策では、福島原発事故の反省もなく、12基の原発再稼働が認可され、その内、5基が私たちの強い反対にも関わらず再稼働を強行しました。それどころか、原発の新・増設の可能性すら追求し始めています。フクシマを決して忘れてはなりません。福島県民と周辺県で放射能汚染を強いられた人々の健康不安、特に子どもの健康にしっかり向き合うよう、「被爆者援護法」に準じた法整備を国に求めるとともに、原発の再稼働や新・増設を許さず、全ての原発の廃炉、再生可能エネルギーへの転換を求めます。

 安倍政権は、安全保障関連法制(戦争法)や組織犯罪対処法改正(共謀罪)を、市民の多数の反対を押し切って、国会での数の力により強行採決させてきました。さらに、2020年までには憲法を改「正」する構えを見せています。戦争により何が起こったのか思い起こすとともに、被爆地ヒロシマを体験した私たちは、9条を守り憲法を守り一切の戦争を否定し、二度と悲劇が繰り返されないよう訴え行動していきましょう。

 これまで私たちは原水禁を結成し、52年にわたり一貫して「核と人類は共存できない」、「核絶対否定」を訴え続け、核のない社会・世界をめざして取り組んできました。現在、暴走し続ける安倍政権の戦争への道、原発再稼働への道に対抗していくことが喫緊の課題であり、未来ある子どもたちに「核も戦争もない平和な社会」を届ける取り組みを全力で進めます。

○核兵器禁止条約で核兵器廃絶を実現しよう!
○フクシマを繰り返すことなく、全ての原発の再稼働や新・増設に反対し脱原発社会をめざそう!
○原発事故の被災者と被曝労働者の健康と命と生活の保障を政府に強く求めよう!
○非核三原則の法制化を実現しよう!
○憲法改「正」を許さず、戦争法や共謀罪の廃止をめざそう!
○ヒバクシャ援護施策の強化ですべてのヒバクシャ支援を実現しよう!
○被爆二世・三世の援護を実現しよう!
○すべての核兵器をなくし、核と戦争のない21世紀をつくろう!

 ノー モア ヒロシマ、ノー モア ナガサキ、ノー モア フクシマ、ノー モア ヒバクシャ

                        2017年8月6日
                        被爆72周年原水爆禁止世界大会・広島大会
 

原水禁世界大会・広島大会の「まとめ集会」開かれる

2017年08月06日

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  1945年8月6日午前8時15分、広島に原子爆弾が投下され、一瞬にして多くの命が奪われてから72年。「被爆72周年原水爆禁止世界大会・広島大会」は「まとめ集会」を県立総合体育館で開き、700人が参加しました。
 主催者挨拶に立った川野浩一・大会実行委員長は、8月6日の「あの日」を振り返り、「多くの子ども達も犠牲になった。三たび繰り返さないと誓ったはずが、いまだ達成されていない。安倍晋三首相は広島平和式典で、国連で採択された核兵器禁止条約について何も触れなかった」と厳しく批判しながら、「安倍政権の支持率は激減している。いまこそ政治の流れを変えるチャンスだ。原点に立ち返って行動しよう」と呼びかけました。
 中・高校生が中心になって企画・運営された「メッセージfromヒロシマ2017」の報告では、参加した子ども達の平和への思いを集めたボードが披露され、採択された「平和アピール」が紹介されました(写真上)。

 海外代表からのアピールは、韓国・環境省中央環境政策委員のイ・ユジンさんが行い「アジアでは、台湾が2025年までに原発をゼロにし、韓国でも文大統領の下で脱原発の機運が高まっている。民主国家では原発は選択されない。勝利の日まで闘おう」と訴えました。

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 特別報告として、「高レベル放射性廃棄物処分問題と適地マップの公表について」を北海道平和運動フォーラムの長田秀樹代表が報告。原発から出される「核のゴミ」と呼ばれる高レベル放射性廃棄物を地下に埋めるため、政府が7月28日に示した処分地の「科学的適正マップ」を厳しく批判し、「該当する自治体において処分場拒否の議会意見書採択の運動を展開しよう」と呼びかけました。
 広島大会のまとめを藤本泰成・大会事務局長が行い、5日の分科会や国際会議などでの論議の中から、「核兵器禁止条約」の早期発効に向けて日本がアメリカの「核の傘」からの脱却が必要なことや、核燃料サイクルシステムの破綻、東北アジア非核地帯化構想の推進、福島原発事故の避難者へ「被爆者援護法」に準じた法整備、再生エネルギーの拡大、脱原発の視点からの日本の核政策の転換などを提起し「明日の世界のために何が出来るか一人一人が考えよう」と強調しました。
 最後に「暴走し続ける安倍政権の戦争への道、原発再稼働への道に対抗していくことが喫緊の課題であり、未来ある子どもたちに『核も戦争もない平和な社会』を届ける取り組みを全力で進めます」とする「ヒロシマアピール」を採択。「核兵器禁止条約は被爆者の思いが原動力となって成立した。その思いを私たちの行動に重ねていこう」と、佐古正明・大会副実行委員長(広島原水禁代表委員)の閉会挨拶で終了しました(写真下は、最後に「原爆を許すまじ」を合唱する参加者)。
 原水禁世界大会は8月7日から9日までの長崎大会に引き継がれます。
 「ヒロシマアピール」はこちら

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広島大会2日目は分科会や国際会議で討議行う

2017年08月05日

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  8月5日、被爆72周年原水禁世界大会・広島大会の2日目は、午前中に7つの課題別に分かれての分科会が開かれました。「平和と核軍縮」の分科会は、安倍政権の戦争をする国作りに対して、憲法を元に平和構築をどう図るかと、国連の核兵器禁止条約採択を受けての東北アジア非核地帯化の課題をさぐる分科会が開かれました(写真上)。
 「脱原子力」の課題では、核燃料サイクルと高レベル放射性廃棄物の処分をめぐる課題や、福島原発事故を受けての再生可能エネルギーなど脱原発をどう進めるかを討議しました。(写真下)。
 
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 さらに「ヒバクシャを生まない世界に」として、世界の核被害者の現状と連帯あり方を検討した他、韓国やメキシコの在外被爆者を招いて補償問題や戦争責任を考えました(写真下)。
 さらに、原爆問題の入門を学ぶ分科会も開かれました(写真上)。これら分科会の内容は後日、原水禁国民会議のホームページで報告されます。
 
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 午後からは「なぜ日本で脱原発が進まないのか」をテーマに、国際会議も開かれ、ともに政権が脱原発の方向性を明らかにした韓国と台湾のゲストから、政策転換に至った経過や今後の課題について報告を受けるとともに、日本での脱原発運動をどう進めるか、研究者や市民団体代表を含めて論議を行いました(写真上)。
 また、様々なグループが企画した「ひろば」や「つどい」が開かれた他、落語や講談で平和や核問題を学ぶ「話芸のひろば」(写真下)や、映画の上映会も行われました。さらに、子どもや若者にも平和の問題を知ってもらおうと、今年も「子どものひろば」や、高校生が企画した「メッセージfromヒロシマ」も行われました。また、フィールドワークは、一部台風の影響で中止せざるをえない催しもありましたが、様々な現場を視察しました。
 広島大会は6日に「まとめ集会」を行い、7日からの長崎大会に引き継がれます。

広島大会 第1分科会「平和と核軍縮1─憲法・沖縄~いまこそ武力にたよらない平和構築へ」

2017年08月05日

広島大会 第1分科会「平和と核軍縮1─憲法・沖縄~いまこそ武力にたよらない平和構築へ」

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 講師:前田哲男(ジャーナリスト・軍事評論家)
 海外ゲスト:ポール・マーチン(米国・ピースアクション)

 最初に、米国ピースアクションのポール・マーチンさんより、主にトランプ米政権の政治姿勢について報告があり、日・米関係の今後について問題提起された。
 トランプ政権の特徴として、政策的なスキルの不足と内部抗争が挙げられ、唯一守られている公約が軍事中心主義の強化であり、それは経済的な利益主義と結びついている。シリアへの軍事行動やイスラム教徒への差別がオバマ政権との決定的な違いを示しているとの見解も示され、選挙の重要性も指摘された。
 次に、軍事評論家・前田哲男さんから、『弾道ミサイル落下時の行動について』とする政府の時代錯誤の広報や自衛隊による稚拙な防衛訓練の問題点が提起され、小野寺新防衛大臣を中心とする勢力の敵基地先制攻撃論やミサイル防衛体制の強化への批判が展開された。
 また、自衛隊・防衛問題に関する世論調査の分析からは、「自衛隊と民意」についての傾向が鮮明であり、災害派遣を中心にした国民生活に密接する「働く自衛隊」が求められており、これを「9条改憲」の対抗軸とすることを提起された。
 各地の報告では、沖縄から、辺野古、高江の新基地建設強行を巡る安倍政権の強圧姿勢とこれに対峙する現地の運動の現状(決して屈しないエネルギーについて、神奈川からは、空母艦載機の厚木から岩国基地への移設と横須賀基地の空母戦闘団の強化(世界最強のBMD防衛拠点化について、山口からは、厚木からの戦闘機移設を含む、巨大軍事基地(常駐機168機におよぶ建設に向かう現状について報告された。
 質疑・討論では、トマホーク・ミサイルの購入が検討されるなど先制攻撃を受け入れる姿勢について、米空母カールビンソンの日本海への展開を容認する米国依存体質への疑問など、憲法上の疑義と朝鮮半島情勢への対応策が問われた。また「拉致問題の解決」が重要ではとの意見も出された。
 前田さんからは米・朝協議の促進、そして平和条約の実現こそが劇的な変化、根本的な解決につながる、「拉致問題」も日・朝関係改善の方向性の中で捉えようとの指摘がされた。

広島大会 第2分科会「平和と核軍縮2-核兵器禁止条約と東北アジア非核地帯化の展望と課題」

2017年08月05日

広島大会 第2分科会「平和と核軍縮2-核兵器禁止条約と東北アジア非核地帯化の展望と課題」
 
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講師:秋葉忠利(元広島市長)、
   湯浅一郎(ピースデポ副代表) 
海外ゲスト:リュ・ギョンワン(韓国・コリア国際平和フォーラム実行委員長)
参加者:79人
 
 秋葉さんは「核兵器禁止条約」について次のように述べた。
 核兵器禁止条約の成立は、被爆者を中心とした国際的な反核運動の成果であり画期的なものであるが、この条約成立で核兵器廃絶の道筋ができたわけではない。 1986年のレイキャビック会談で合意された核兵器の削減が実現しなかったのは、軍産複合体や官僚組織、テクノクラート的聖職者の存在があった。オバマ大統領のプラハ演説以降、結果としてアメリカでは核兵器を維持する予算は増えてきた。
 それに対抗するために「世論」と核兵器禁止条約がある。NPT条約で謳われた軍縮会議が40年間も開かれないのは、議題そのものを設定する段階で「拒否権」が発動されているためだ。その「拒否権」に対抗する多数派の力で、核兵器禁止条約は作られた。国連の限界があっても、多数決が使える国連のメカニズムを積極的に活用し、市民運動と「志を同じくする国々」と連携し、核保有国や戦争の好きな国々の中の核廃絶派・戦争反対派との連携を密に行動することで、「拒否権」を超える世界の動きを創っている。核兵器禁止条約成立により、核兵器廃絶は「道徳」から「法律」となった。
 6カ国協議が9年間開催できない状態になり、その間に北朝鮮は自分たちの国がイラクのように一方的に潰されることがないように、経済は大変な状況ではあるが相当なエネルギーと予算の大部分を核兵器とミサイル発射技術へ投入してきた。7月21日の停戦協定の日を意識して、次の日の28日の夜にアメリカまで届くと考えられるようなICBMの発射実験をして見せるところまで来ている。
 
 次にリュさんから、米国の対北敵対政策がこれ以上維持するのが難しく、破綻する一歩手前にまで来ていること。停戦状態を解消し恒久的なコリア平和体制を構築するための米朝および南北交渉が直ちに始められなければならないこと。関係国がこれからどのように行動するかが、朝鮮半島情勢を左右する要因になることが報告、提起された。
 
 さらに湯浅さんは、核弾頭の数は、米ソ冷戦をやめ、相互に冷戦時代とは全く異なる関係性をつくってきた歴史のなかで、1万4千発まで減らすことができている。軍事力による安全保障ジレンマの愚かさと、そこから逃れていく筋道を外交的に作っていけば、軍事力の強化をむしろしなくて済んでいる現実が示されている。
 このことを東北アジアに適用するために「北東アジア非核兵器地帯」を具体化していくことが求められているおり、米国の核の傘に安全保障を依存する日本の政治姿勢を変えねばならない。核兵器禁止条約という国際的な規範を活かし、市民社会がこれを変えていく力を持つことが求められていると訴えた。

広島大会 第3分科会「脱原子力1-核燃料サイクルと高レベル放射性廃棄物」

2017年08月05日

広島大会 第3分科会「脱原子力1-核燃料サイクルと高レベル放射性廃棄物」
 
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講師:伴英幸(原子力資料情報室共同代表)
   末田一秀(はんげんぱつ新聞編集委員)
海外ゲスト:イ・ユジン(韓国・環境省中央環境政策委員)
参加者数 161人 
 
伴さんから「高レベル放射性廃棄物」と題して講演があった。
 1950年代から始まる高速増殖炉による「夢の核燃料サイクル」は、計画の見直し、先送りの歴史であったこと、さらには欧米の原発先進国での高速増殖炉実用化からの撤退など、核燃料サイクルがまさに「夢物語」であることをわかりやすく説明された。
 また、2016年の「もんじゅ」廃止決定は、政策の大転換であり、六ヶ所村の再処理施設意義は失われている。政府は六ヶ所の延命を図るろうとしているが、事業破たんは明白で、大事故が起こる前に再処理施設を中止に追い込こもうと訴えられた。
 
 末田さんは「高レベル放射性廃棄物の問題」と題して講演。高レベル放射性廃棄物の説明の後、地層処分は放射能が漏れ出すことが前提の施設であること、ガラス固化体に不良品が発生することは避けらないなどの危険性が指摘された。
 そして、処分場には、再処理時に発生するTRU廃棄物の処分施設も併設されるが、含まれるヨウ素は水に溶けやすく岩盤に吸着されないため、処分から10年程度で地表に放射能が漏れだす危険性があると指摘された。
 7月28日に公表された「適地マップ」を示し、今まで処分場に縁のなかった地域も対象となっていることや、あらたに沿岸の海底も対象となっていることなどに触れ「地域での学習会」などの取組み強化を訴えられた。
 
 イ・ユジンさんより「韓国での脱核とエネルギーシフト」と題した講演があった。韓国では脱原発の運動が爆発的に盛り上がっている。現在24基の原発が稼働し、5基が建設中であるが、そのうち2基の原発については市民が参加して建設の是非を論議する画期的な状況が生まれている。
 ムン・ジェイン政権のエネルギーシフト政策として「脱核」が示されているが、韓国でも原発関連産業を中心とした原発村は大きな力を持っており、市民が参加できるエネルギーの民主化が課題である。
 韓国、日本、中国は、お互いに影響を及ぼしており、緊密に情報を共有し、脱原発に向けたロードマップを市民レベルで確立するエネルギー民主主義の運動を韓日相互で発展させようとの提案もなされた。
 
 講演の後、一括して質疑が行われ、佐賀、奈良、大阪などから発言があった。最後に北海道、青森、福井、福島より各地の活動報告があった。

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