2017年10月

柏崎刈羽原発6・7号機の審査「合格」に対する声明

2017年10月06日

柏崎刈羽原発6・7号機の審査「合格」に対する声明

原水爆禁止日本国民会議
議長 川野 浩一

 10月4日、原子力規制委員会は、東京電力柏崎刈羽原発6・7号機が新規制基準に適合しているとする審査書案を了承した。東京電力は、福島第一原発事故を起こし、事故の収束もいまだ見えない中にあり、被災者等に対する事故の責任も十分に果たしきれていない。いまも5万人を越える被災者が苦しい避難生活を余儀なくされ、生活や健康などの不安をかかえている。さらに一方的な補償の打ち切りが追い打ちをかけ、被災者の切り捨てが行われている。いま、多くの福島原発事故の被災者は、原発の再稼働に対して強い怒りを持っている。再稼働よりも福島原発事故の収束と復興、補償に全力をあげるべきである。
 さらに東京電力には巨額の公的資金が国から投入されている。このような企業がまともな経営や責任が取れるとは思えない。東電は経営のためと称して原発の再稼働を急いでいるが、命よりも経営優先では、またも事故を引き起こすことが危惧される。たとえ再稼働で一時的に利益が上がったとしても、さらに多くの核のゴミを生み出し、廃炉や高レベル放射性廃棄物の処理処分に莫大な費用がかかることになる。中・長期的に見ればさらに負債を大きくするもので、それを電力料金等に上乗せし、結局私たちに負担を強いることは絶対に許されない。
 原子力規制委員会は、能力的、経済的、道義的な責任に問題のある東電に、ただ規制基準に合ったというだけで、実質的に運転合格となる「審査書案了承」を出したことは、大きな間違いであり、了承の撤回を強く求める。さらに柏崎刈羽原発は、2007年の中越沖地震に見舞われた場所に立地している。福島原発事故同様、地震による原発事故の危険性は今後も付きまとう。そのようなリスクも問題である。
 原子力規制委員会は、新規制基準のみに依拠し、社会的な問題や避難の問題などを抜きにし、「合格」のお墨付きを与えている。そしてそれを政府が「安全」と言い切り、強引に再稼働を推し進めることは許されない。
 安倍自公政権は、今回の衆議院総選挙で、公約として「立地自治体などの理解と協力を得つつ再稼働を進める」とし、原発推進に前のめりである。しかし、多くの世論調査でも脱原発への世論が多数を占めており、まさに世論に逆行している。政府も規制庁も東電も多くの市民の声に真摯に耳を傾けるべきである。
 私たちは、あらためて「審査書」の撤回と柏崎刈羽原発の廃炉を強く求める。

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