伊方原発3号機差止訴訟の広島高裁判決に対する声明
2017年12月14日
伊方原発3号機差止訴訟の広島高裁判決に対する声明
原水爆禁止日本国民会議
議長 川野 浩一
議長 川野 浩一
12月13日、広島高裁(野々上友之裁判長)は、四国電力・伊方原発3号機(愛媛県伊方町)をめぐり、広島県内の市民が運転差し止めの仮処分を求めた抗告審で、これまでの広島地裁の決定を覆し、来年の9月30日まで運転を禁じる決定を下した。仮処分はただちに法的な拘束力を発揮し、今後の司法手続きで覆らない限り運転はできないこととなった。現在、伊方原発3号機は、今年10月から定期検査のため停止中で、来年2月20日の営業運転の再開を予定していたが、この判決で計画通りの運転が不可能となった。原発の運転を差し止めた高裁における司法判断は初めてで、まさに画期的な判決であり、各地で進められている裁判にも大きな影響を与えるものである。
今回の判決では、阿蘇山(熊本県)が過去最大規模の噴火をした場合、火砕流の影響を受けないとはいえないと判断した。高裁の判決では、原発事故時に住民らに危険が及ばないかどうかについては、電力会社側に立証責任があるとの立場をとったことは評価できるものである。さらに、今回の決定で問題視したのは130㌔離れた阿蘇山の噴火リスクであった。原子力規制委員会の審査内規では、原発から160㌔以内の火山を検討対象している。その中には、玄海原発、川内原発も圏内に含まれる。当然それらの原発の稼働についても同様に考えるべきである。
一方で、原子力規制委員会が定めた規制基準についての判断は、火山事象以外は全て認めていることは問題である。特に伊方原発では、地震動に対する安全性について福島原発事故の教訓を生かしておらず、再び深刻な事態が生じかねない内容となっている。
また、9月30日までの期限は、広島地裁では運転差し止めの訴訟も続いていることを踏まえ、その本訴での証拠調べをするためとして設定されたもので、本来この判決で指摘された火山事象に対する潜在的な危険性と期限とは関係ないものである。9月30日までに本訴が終わっていなければ、四国電力は期限経過後に再稼働する可能性があり、問題を残している。
原水禁として、現実に稼働している原発を高裁が止めたということと、火山事象に対する司法判断を高く評価する。今回、被爆地ヒロシマにおいて「二度と放射線の被害(被曝)を受けることを拒否する」とする原告の決意に対しても敬意をあらわすとともに、原水禁はその思いをともにして、脱原発社会に向けて取り組みを強化していく。
今回の判決では、阿蘇山(熊本県)が過去最大規模の噴火をした場合、火砕流の影響を受けないとはいえないと判断した。高裁の判決では、原発事故時に住民らに危険が及ばないかどうかについては、電力会社側に立証責任があるとの立場をとったことは評価できるものである。さらに、今回の決定で問題視したのは130㌔離れた阿蘇山の噴火リスクであった。原子力規制委員会の審査内規では、原発から160㌔以内の火山を検討対象している。その中には、玄海原発、川内原発も圏内に含まれる。当然それらの原発の稼働についても同様に考えるべきである。
一方で、原子力規制委員会が定めた規制基準についての判断は、火山事象以外は全て認めていることは問題である。特に伊方原発では、地震動に対する安全性について福島原発事故の教訓を生かしておらず、再び深刻な事態が生じかねない内容となっている。
また、9月30日までの期限は、広島地裁では運転差し止めの訴訟も続いていることを踏まえ、その本訴での証拠調べをするためとして設定されたもので、本来この判決で指摘された火山事象に対する潜在的な危険性と期限とは関係ないものである。9月30日までに本訴が終わっていなければ、四国電力は期限経過後に再稼働する可能性があり、問題を残している。
原水禁として、現実に稼働している原発を高裁が止めたということと、火山事象に対する司法判断を高く評価する。今回、被爆地ヒロシマにおいて「二度と放射線の被害(被曝)を受けることを拒否する」とする原告の決意に対しても敬意をあらわすとともに、原水禁はその思いをともにして、脱原発社会に向けて取り組みを強化していく。