2019年8月
2019年08月08日
被爆74周年原水爆禁止世界大会 長崎大会
第1分科会 平和と核軍縮Ⅰ─日米同盟強化と沖縄
日時 : 8月8日(木)9:30~12:30
会場 : 長崎ブリックホール 3F 国際会議場 (長崎市茂里町2-38/℡095-842-2002)
講師 : 前田哲男(ジャーナリスト・軍事評論家)
海外ゲスト:ソン・ミヒ(韓国・進歩連帯)
沖縄ゲスト:山城博治(沖縄平和運動センター議長)
報告:高校生平和大使
◆初参加者は5割程度
内容 :戦争法が強行採決されてから4年。この間、敵基地攻撃を可能とし、専守防衛を逸脱する装備・技術の導入が進められています。そして、南シナ海、朝鮮半島近海や上空で、日米が軍事訓練を展開し、日米の軍事一体化、日米統合軍構想が現実のものとなっています。一方、日本および韓国で進められる米軍再編は、両国の負担によって展開され、安全保障のためとされる米軍駐留費(思いやり予算)や有償軍事援助による米国製兵器の導入で、国の財政を圧迫しています。また、米国の東アジアの軍事的拠点として位置付けられる沖縄では、相次ぐ米軍機の事故、米兵・軍属による事件、爆音被害などに悩まされ、反対の民意にもかかわらず辺野古新基地建設が強行されています。沖縄県民の思いを基本にしながら、東北アジアの平和と安全について、考えを深め、今後の運動の方向性を探っていきます。
質疑応答詳細報告
⒈【鹿児島からの参加者】 原発のある地域に住む。高校生平和大使の発言に共感した。原子力基本法でもそうだが、何故、政府は原発に拘るのか?日本は将来的に核兵器を持ちたい意思があるでは。
【高校生平和大使 回答】 日本は、原発と核と分けて考えられている。危ない原発を安全に使いたいと考えているのでは。原発も核兵器も危ない。福島の原発事故の事を訴えていきたい。
⒉【福岡からの参加者】 緊迫した状況が続いているが、何故大手を振って米軍基地があるのか?原発事故の収束が見えない中、軍事力強化でアメリカの武器を買い、中国脅威論が強まっているが、抑止力になるのか?先制攻撃で核を使う可能性があるでは?
⒊【大阪からの参加者】 南西諸島防衛ラインは、千キロ以上あるが、今の自衛隊では守れないと思う。世界の平和的発展、経済的発展をなしていく、運動を大きくしていきたい。
【前田哲男 回答】 米軍基地の存在意義は、何なのか?サンフランシスコ条約で米占領軍は、90日以内に撤退。しかし、日米安保条約によって占領軍が残り米駐留軍基地ができた。日米安保体制が構築され、占領特権が、港や空港使用などで今も続いている。港の使用許可は、自治体の権限が強い。小樽市や神戸市では、港使用を非核化している。中国脅威論は、米中の経済戦争が、軍事的に発展して日本がアメリカに力を貸している。今後は、専守防衛の見える化、安倍政権とは違う専守防衛、自衛隊のあり方をこちらから出していき、若い人達に伝えていく必要がある。
⒋【神奈川からの参加者】 日韓関係が悪化しているが、アメリカの脅迫的仲介によって日韓条約が結ばれたが、どう評価しているのか?
【ソン・ミヒ 回答】 日韓条約によって日本は全て終わったと思っているが、そうではない。お金は、経済的協力によって支払われており、戦争、植民地化における清算は終わっていない。日本は誠実に対応して欲しい。
⒌【福岡からの参加者】 毎月辺野古の問題を街宣行動。日本から米軍基地をなくしていく運動が必要。
【山城博治 回答】 南西諸島防衛ラインの問題は、沖縄では語られない。背景に、分断と差別の構造があり、不公平、不条理だ。沖縄の非軍事化を東アジアの非軍事化につなげていきたい。
⒍【神奈川からの参加者】 横須賀基地の現状を報告。トランプが来日し、安倍と横須賀で自衛隊に激励。海上自衛隊の軍艦が、米軍によって軍事化、使用される可能性がある。また、思いやり予算が今年で切れ、1兆円の予算が数倍になるのでは。
⒎【長崎からの参加者】 佐世保にも基地があるが基地にすがっている地元経済があり、保守系議員も含めて、説得する為に、良いヒントを。
【前田哲男 回答】 対案を作る必要かある。沖縄が良い例で、観光産業で1千万人がきている。
⒏【新潟からの参加者】 教員をしているが、子ども達に戦争をさせたくない。子ども達に、これだけは伝えたい。
【山城博治 回答】 私達の夢は、辺野古を世界遺産にしたい。現在1千万人の観光客がいるが世界遺産によって二倍にも三倍にもなる。しかし、たった一発の銃声によってなくなる。その事を強く訴えたい。
【ソン・ミヒ 回答】 子どもは、大人の後ろ姿を見る。大人の姿勢を見せ、平和のために生活することが大切だ。
【前田哲男 回答】 ヒロシマ、ナガサキ、オキナワの事を伝えることが大事。近い将来、被爆体験、戦争体験した人がいなくなる。しかし、語り継ぐ人がいる限り続く。そこから若い人たちの感性で、新しいものを創造していく必要がある。
以上の討論・質問がなされました。
2019年08月07日
核なき世界を願って 原水爆禁止世界大会・長崎大会が開幕
8月7日、長崎市ブリックホールで「被爆74周年原水爆禁止世界大会・長崎大会」の開会総会が開催されました。長崎県内や九州各県をはじめ、全国から1300人が参加しました。
オープニングでは、高校生平和大使・高校生1万人署名活動実行委員会のメンバー100人以上がステージ上に所狭しと並び、この一年間の活動報告を行うとともに、署名活動のために作曲されたという「この声を、この心を」を合唱し、歌声を響かせました。
その後、「第35回反核平和の火リレー」参加者の皆さんが駆け足でステージへと上がり平和を訴えながら長崎県内を一周したことを報告しました。
原爆をはじめ多くの核被害の犠牲者への黙とうに続き、主催者あいさつに立った川野浩一・大会実行委員長は、74年前の原爆被害の悲惨な実情を語り、核兵器禁止条約に対する日本政府の姿勢を批判し、正すように訴えました。
アメリカ、韓国などから参加された海外ゲストを代表し、ドイツ・社会民主党のクラウス・ミンドラップさん(ドイツ連邦議会議員)がドイツでのエネルギー政策を報告し、「今は、エネルギー供給方法を模索する時代、日本は脱原発を実現し、今こそエネルギー政策の転換をはかるべきある」と呼びかけました。
核兵器禁止条約に対する日本政府の姿勢、核兵器を取り巻く世界情勢の変化など、核なき世界をめざすためにどうすべきか等をまとめた大会基調を藤本泰成・大会事務局長が行いました。
続いて、福島原発事故の実態について、福島県平和フォーラムの瓜生忠夫副代表は、福島の現在の惨状を訴え、「脱原発への取り組みを強める」と決意を述べました。
長崎からのメッセージとして、初めに、「被爆体験者」訴訟原告団の田長被爆体験者協議会会長であり第二陣原告団長の山内武さんと第二陣原告の矢野ユミ子さんのお二人が、政府および長崎市が、被爆地域外であることを理由に、被爆者認定を認めようとしないことを厳しく批判しました。
田上富久・長崎市長から「被爆から74年が経っても世界にはまだ多くの核兵器がある。核兵器の無い世界をめざし、長崎だからできることに力を入れる」との訴えがありました。
長崎から始まり現在では全国17都道府県に活動が広がった第22代高校生平和大使23人が登壇し、それぞれ決意を述べました。
最後に「原爆を許すまじ」を大合唱して閉会しました。
長崎大会は8日に分科会やひろば、フィールドワークなどで論議や学習を深め、9日には、閉会総会・平和行進が行われ、爆心地公園で黙とうをする予定です。
2019年08月06日
被爆74周年原水禁世界大会・広島大会は、8月6日に広島県民文化センターでまとめ集会を開き、500人が参加。3日間の大会の報告とともに、「中距離核戦力(INF) 全廃条約」の失効に抗議する特別決議と、「ヒロシマ・アピール」を採択しました。
マーシャル諸島や沖縄からも訴え
74年前の8月6日に広島に投下された原子爆弾の犠牲者への黙とうを行った後、主催者あいさつで川野浩一・大会実行委員長(上顔写真左)は「あの日を繰り返してはならないとの思いで大会に集まった。しかし、安倍政権は隣国に敵を作り、憲法改悪を企てている」と指摘。「いつか来た道を歩むことがないように、すべての人たちのために運動を続けよう」と訴えました。
5日に行われた子どものひろば「メッセージfromヒロシマ2019」を、4人の高校生が報告しました(上写真)。これは高校生を中心とした実行委員が運営したもので、広島朝鮮初中高級学校の朝鮮舞踊のオープニングで始まり、各自が平和の思いをボードに書いたり、広島で行われている平和の取り組み報告、全国の参加者や海外から参加した子どもたちのメッセージを受け、最後に平和メッセージを世界に発信しました。
大会参加した海外ゲストを代表し、マーシャル諸島「REACH-MI」代表のラニー・クラマーさんがあいさつ(上顔写真中)。1946年~58年にマーシャル諸島で行われたアメリカの核実験の被害者の支援に精力的に取り組み、2015年に設立された「放射線被ばくへ人々の関心を高めるキャンペーン」(REACH-MI)の創始者として活動するラニーさんは、「マーシャル諸島の人々と、被爆地の広島・長崎、そして原発事故の福島の人々はともに核の被害を受けたことで共通している。みんなで立ち上がり、核なき世界を作ろう」と呼びかけました。
特別報告として「守る、辺野古、憲法、いのち」と題し、沖縄平和運動センターの仲村未央副議長(上顔写真右)が名護市辺野古で建設が進められている米軍新基地建設問題の訴えを行いました。「安倍政権は、選挙で示された沖縄の民意を無視し、工事を強行している。また、宮古島など南西諸島でも自衛隊基地強化が行われている。こうした暴挙を止めるため、全国から安倍政権と対決しよう」と強調しました。
米露の中距離核戦力全廃条約の失効に抗議
広島大会のまとめを藤本泰成・大会事務局長が行い、「人々の生きていくその場所から、場所と場所を繋いで「平和」を作りあげていこう」と呼びかけました。
まとめはこちら
特別決議として「中距離核戦力(INF)全廃条約失効は許されない」として、アメリカが離脱を表明した米露間のINF条約が8月2日に失効したことに抗議するとともに、日本が核兵器禁止条約の署名・批准を行うことを求めました。
特別決議はこちら
大会参加者の総意として、「被爆地ヒロシマを体験し、憲法を守り、一切の戦争を否定し、二度と悲劇が繰り返されないよう訴え、行動しよう」と「ヒロシマ・アピール」を採択しました。
「原爆を許すまじ」を全員で合唱し、最後に佐古正明・大会副実行委員長が「広島で学んだことを地域に戻って広げてほしい」と閉会あいさつを行い、7日から9日まで開かれる長崎大会に引き継がれました。(下写真は「原爆を許すまじ」の合唱)
2019年08月06日
原水爆禁止世界大会広島大会が始まる直前の8月2日、米露の二国間で交わされていた「中距離核戦力(INF)全廃条約」が失効した。今年2月に米国は、ロシアが条約に反して中距離核戦力の開発を進めているとして、条約からの離脱を表明して以来、ロシアと対立したまま条約が定める失効日を迎えた。
INF全廃条約は、東西冷戦の最中1987年12月8日に、米国とロシア(旧ソ連)の間で調印され、条約が定める期限(1991年)までに、米露双方の中距離核戦力は全廃された。中距離核が実戦配備された東西ヨーロッパ社会の危機感から生まれた条約は、ヨーロッパ社会の安全保障に大きく貢献してきた。条約が生まれた意義と果たしてきた役割を省みない米国の姿勢は決して許されない。米トランプ政権は、条約に参加しない中国も含めて新たな核軍縮の枠組みをつくるべきと提案しているが、それは条約離脱の理由にはならない。
昨年のイラン核合意からの離脱も、ペルシャ湾・ホルムズ海峡の不安定化をもたらし、イランを核開発の再開に呼び込むものだ。中東の平和と安定にとって、イラン核合意は重要な役割を持っている。一方的な離脱と主張からは、何も生まれないだろう。
「核なき世界」を提唱した米オバマ前政権の政策から一変して、米トランプ政権は、自国第一主義と力による平和を標榜し、自国の主張を押し通そうと、他国に対して様々な圧力をかけ続けてきた。これまで世界が長い間地道に積み上げてきた、平和と核兵器廃絶への枠組みを、一方的に壊していくことは絶対に許されない。
一方で、米トランプ政権は、「核態勢の見直し」において、地域を限定して使用可能とする核弾頭の小型化や通常兵器の攻撃に対して核の使用を可能とするなど、核攻撃能力の強化を狙っている。核兵器をもって世界に君臨し自国の利益を守ろうとする姿勢で、米国はどのような未来を想像しているのか。そして、その米国の姿勢を大きく評価する日本政府も同様である。米国の核抑止に依存し、核兵器禁止条約の署名・批准に否定的な姿勢は、唯一の戦争被爆国とは到底言えるものではない。
核兵器禁止条約の署名・批准が進んでいる。条約発効は目の前に迫ってきている。今、私たちは核兵器廃絶の道程からはずれることは許されない。2021年には、新戦略兵器削減条約が期限を迎える。更なる削減に向けて米露両国は、条約の延長にむけた交渉をすみやかに開始すべきだ。そして、核兵器保有国の責任として、核兵器廃絶の国際的枠組みの再構築を図るべきだ。2020核拡散防止条約再検討会議において、自国第一主義から離れ真摯な議論を展開しなくてはならない。そして、日本政府は、唯一の戦争被爆国として核兵器禁止条約の署名・批准をすみやかに行わなくてはならない。
原水禁は、「核絶対否定」の原則の下、核兵器廃絶の声を後退させることなく、全力でとりくんでいくことを改めて確認する。
2019年8月6日
原水爆禁止世界大会広島大会参加者一同
2019年08月05日
被爆74周年原水爆禁止世界大会・広島大会の2日目は、「平和と核軍縮」「脱原子力」「ヒバクシャ」の課題について、分科会が開かれ、それぞれ個別の課題を中心に議論を重ねました。
平和と核軍縮については、第1分科会「沖縄で何が、起きているのか」(上写真)では、沖縄平和市民連絡会の北上田毅さんとピースデポ代表の湯浅一郎さんが、沖縄・辺野古基地建設問題を中心に、今後の取り組みを展望しました。
第2分科会は「日・米・韓軍事同盟の行方」(上写真左)をテーマに、日本や韓国で進められている米軍再編や東北アジアの平和と安全にとってどのような取り組みが必要かを考えました。
「朝鮮半島の非核化と日本」を討議する第3分科会(上写真右)では、アメリカや韓国のゲストを含め、動き始めている朝鮮半島情勢をどう捉え、平和にむけた信頼をいかに作るかを議論しました。
[脱原子力」については、第4分科会の「自然エネルギーの今とこれから」(上写真右)では、ドイツのゲストから脱原発のあり方を学び、日本における再生可能エネルギーの可能性などを考えました。
「原発政策の矛盾」について第5分科会(上写真左)では、韓国や各地の報告をもとに、原発政策の矛盾を明らかにし、脱原発社会の取り組みを考えました。
第6分科会の「福島の現実と課題」では、福島の運動団体からの報告を受け、復興や補償のあり方について、国や東京電力の責任を問う意見が相次ぎました。
「ヒバクシャの現在」をテーマにした第7分科会(上写真左)では、ビキニ核実験から60年以上が経過する中で、現地の活動団体の報告を受けながら、ヒバクシャの連帯を問いました。
第8分科会は、初めて原水禁大会に参加した人を対象に、広島・長崎の被爆の実相と原水禁運動の経過について、広島県原水禁代表委員の金子哲夫さんなどが語りました(上写真右)。
国際シンポで東北アジアの非核化などを討論
午後から開かれた「国際シンポジウム」(上写真)は、「核兵器禁止条約採択から2年―東北アジアの非核化に向けて、日本は何をすべきか」をテーマに、パネラーとして、梅林宏道さん(上顔写真左・ピースデポ)、米国からスージー・アリソン・リットンさん(同写真中・ピースアクション)、韓国のソン・ヨンフン(同写真右・参与連帯)が、国連の「核兵器禁止条約」にどう向き合うか、朝鮮半島の非核化や東北アジアの安全保障、2020年の核拡散防止条約(NPT)の再検討会議に向けた運動について議論しました。
2019年08月05日
被爆74周年原水爆禁止世界大会 広島大会
第5分科会 脱原子力Ⅱ─原発政策の矛盾
日時:8月5日(月)9:30~12:30
会場:広島YMCA国際文化センター本館 地下 国際文化ホール(広島市中区八丁堀7-11/℡082-227-6816)
講師:伴英幸(原子力資料情報室共同代表)/海外ゲスト:ヨン・ソクロク(韓国・脱ウルサン市民共同行動共同執行委員長)/各地報告:北海道、青森、福井
内容:福島原発事故以来、原発の安全対策強化の費用が莫大になり、以前から高かった原発のコストが、さらに高くなってきました。結果として安倍政権が押し進めようとしていた原発輸出はとん挫し、企業は多額の負債を抱えるようになっています。核燃料サイクル計画も事実上とん挫しており、またMOX燃料工場の目処もたたず、47トンも抱えるプルトニウムの使用計画も示すことができないままとなっています。原発政策の全体像を展望しながら、その矛盾を明らかにし、脱原発社会へのとりくみについて、講師、海外ゲストからの講演ののち、各地からの報告、質疑応答となりました。
2019年08月05日
被爆74周年原水爆禁止世界大会 広島大会
第4分科会 脱原子力Ⅰ─自然エネルギーの今とこれから
日時:8月5日(月)9:30~12:30
会場:ホテルチューリッヒ東方2001 3F レオポルト(広島市東区光町2-7-31/℡082-262-5111)
講師:松原弘直(環境エネルギー政策研究所)/海外ゲスト:クラウス・ミンドラップ(ドイツ・社会民主党)
内容:福島原発事故から8年が経過しました。直後に脱原発を決定したドイツ社会は、再生可能エネルギーを利用する社会へと歩みを進めています。しかし、事故当事国の日本は、事故の収束もできないまま再稼働をすすめてきました。結果として日本の再生可能エネルギーの進捗は遅れています。ドイツ社会のあり方を展望しながら、日本における再生可能エネルギーの利用と脱原発社会の実現に向けたとりくみについて、講師、海外ゲストからの講演ののち、質疑応答となりました。
2019年08月05日
被爆74周年原水爆禁止世界大会 広島大会
第8分科会 見て、聞いて、学ぼうヒロシマ
日時:8月5日(月)9:30~12:30
会場:広島県民文化センター 多目的ホール(広島市中区大手町1-5-3/℡082-245-2311)
DVD上映:『君たちはゲンバクを見たか』(2001年 原水禁国民会議制作 23分)
被爆証言:広島被団協・被爆を語り継ぐ会
講師:金子哲夫(広島県原水禁代表委員)
◆初参加者は7割程度
まず、「君たちは原爆を見たか」のDVD25分を視聴し、次に原田浩さんの被爆体験の話でした。原田さんは、「資料館の中に展示されている被爆にあった洋服の中に生身の人間の身体を表現することができない、その身体の臭などの問題がある。そこまでしたら、おそらく誰も資料館にこないだろう。できる方法で表現したい」と言われました。その他にも、資料館の館長としての使命感を感じさせるような、色々な被爆体験の話をしてくれました。
続いて、金子哲夫さんの「核と人類は共存できない~原水禁運動の歴史」の講演でした。金子さんの話は、原水禁運動の歴史を「継続は力なり!非暴力の運動」の歴史として、とてもわかりやすくまとめられていました。原水禁運動の原点は「被爆者の救済なくして核廃絶なし 核廃絶なくして被爆者の救済なし」であることを確認し、「ここで聞いた話を帰ってぜひ、家庭・職場で話してほしい。そして、来年、また友人・家族を誘って参加してほしい」と締めくくりました。
2019年08月05日
被爆74周年原水爆禁止世界大会 広島大会
第7分科会 ヒバクシャ─ヒバクシャの現在
(シンポジウム形式)
日時:8月5日(月)9:30~12:30 ≪同通装置使用≫
会場:アークホテル広島 4F 鶴の間 (広島市南区西荒神町1-45/℡082-263-6363)
講師:振津かつみ(医師)、竹峰誠一郎(明星大学・教員)
海外ゲスト:ラニー・クラマー(マーシャル諸島・REACH-MI(NGO)代表)
サマンサ・ハナーグ(マーシャル諸島・REACH-MI(NGO)副代表)
報告:被爆二世
◆初参加者は4割程度
講師の方の報告と、マーシャル諸島からのゲストの方の報告、パネルディスカッションが中心となった。
マーシャルには資料館などはなく、事実を学びながら広く伝えていく。人権を確立していく。加害者がいて、被害者がいる。被害に対する責任を問いながら、伝えていく。
被害者が声を出していく中で、始めは小さいが、国際的にも訴え、国の政策にも反映させてきた。マーシャルでも止める力にもなった。
次の世代も含めた人権の確立、二度と繰り返さない運動につなげていきたい。と報告がされ、質疑では、「マーシャルの子供たちの様子が知りたい。どういうふうになっているのか、汚染されている地域の子供たちはどうしているのか」
大きな島に行ったのは聞いているが、どうなっているのかはわからない。とのことだった。
マーシャル諸島が独立したのが1986年、核実験の時はアメリカの植民地支配だった。
国を介してではなく、直接交渉していた。ビキニ以外の島の話しはほとんど知らない。
教科書は英語、学ぶのはアメリカの歴史。マーシャル語で書かれたマーシャルの歴史の教科書はほとんどない。
マーシャルの子供たちが読めるような本を作るとか、日本のこと、第5福竜丸のことが書かれている絵本とか、英語まで翻訳してくれれば、マーシャル語に翻訳すればいい。そうやって交流もすることが出来るのでは?
また、マーシャルだけでなく、タヒチ周辺の島々もフランスの核実験の被害に遭っている。情報が足りなく、放射線についての基礎的な知識が必要。
「広島のおばあちゃん」という本をフランス語に訳して政府機関に渡してきた。小さな取り組みではあるが、いろんなところで、いろんなやり方が出来ると思う。
平和に向けて皆さんがやっていることはある。しかしなかなか拡げられていない。共有がされていない。
被爆者援護法の英訳というのはないし、日本政府は作っていない。韓国をはじめとして、世界にいる核被害を受けた人たちも被爆者援護法の適用になる。被爆者援護法や広島が培ってきた運動の英訳を作ることができれば運動はもっと広がるだろう。
私たちが世界を見るとき、先進国の動向ばかり目を奪われている。本当に核の被害を知るなら、アメリカやフランス、中国の情報だけでなく、世界の周辺の小さな国に問題はあるし、核問題も見えてくる。
どうやって若い人に引き継いでいくか、人口が減っているから若い人は少なくなっているが、やっている人はいる。そういう人たちと交流することが大切。
ビキニでの核実験も、福島原発事故も風化させてはならない。
被爆者の方の高齢化に伴い、二世、三世の方が被爆者の体験を共有してきたものを伝える重要性、そのことを伝えていく役目はもちろんだが、その話を聞いて感じて、被爆のありのままの真実を学び、継承していく、職場や地域に持ち帰り、歴史の一つとして伝えていくことが大切。
74周年の世界大会を通じて「核と人類は共存できない」ということをあらためて確認し、ビキニ環礁での核実験や、福島第一原発事故を風化させてはならない。そのためにも継続した取り組みが重要となる。
被爆者の課題の解決や支援、被害者に対する補償問題、マーシャル諸島では「復興ではなく正義を求めている」「被害者ではなくサバイバーとして闘ってきた」と話しがされた。
風化の前に、まずは「知ること」「知るべき」である。
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