2012年、分科会報告、原水禁大会
【67大会・報告】広島第1分科会/脱原子力1―交流・討論編「福島原発事故と脱原発社会の選択」
2012年08月05日
講師:西尾漠さん(原子力資料情報室共同代表)
鎌田慧さん(ルポライター)
海外ゲスト:パク・ヘリョンさん(韓国・反原発活動家、慶尚北道緑の党運営委員長)
討論の要点及び特徴
西尾漠さんから、「福島第一原発の事故は終わっていない。原子炉の状態が全く分からない状況。今後、配管の腐食等による破断や燃料プールが余震他で危険な状況に陥る可能性がある」と指摘があった。
福島では放射線量の高い地域に生活をせざるを得ない状況の中で、必要な情報がないまま個人が避難や生活や仕事などの選択をせざるを得なくなっている。
原発ゼロはへ向けて電気需要のピークや節電の組み合わせ、エネルギーの損失分(温排水他)を活用すれば可能との話があった。
鎌田慧さん(ルポライター)からは、「『さようなら原発集会』や国会包囲デモは今までになかった運動が広がってきている。1ヵ所で効率よく大量に発電することは力の信仰。電力会社も原発を巨大化させてきた。これは人間の横暴で政府の責任は大きく、政府が政策で原発を止めれば止まる。原発の再稼働をさせない政治的解決が必要。だから運動の意義がある。今私たちの方が押している。政府の『エネルギー・環境に関する選択肢』へのパブコメや1000万人署名の取り組みが重要」との話があった。
会場からは「子どもの内部被ばくについて、政府・東電・原子力ムラの人たちが避難を言うべき」、「原発はエネルギー問題だけでなく人権問題としても捉える。今後、内部被ばく被害が出た場合、補償を求めるたたかいになるが、自民党の憲法改正案では11条の基本的人権を『現在及び将来の国民に与へられる』、憲法97条の基本的人権の本質が丸々削除されている。これは子どもたちの健康被害を先読みしているのではないか」との危惧する発言があった。
また、福島の避難者をサポートしている参加者からは「震災から1年を過ぎてようやく酷い実例を聞くことができた。この事を聞き取り記録し残すことが必要」、栃木からは「国のエネ政策変更に向けて県議会、市町村議会へ陳情し、国へ意見書を出すよう取り組んでいる」との意見・報告があった。
海外ゲストのパク・ヘリヨンさんからは韓国の原発推進状況は日本と変わらない状況にあること。福島の事故は原発が根本的に安全でなく、平和的ではありえない。原発は根本的に暴力的であり、生命に反するという意味では核兵器と異なるところがない。原発事故は被害の状況・範囲は一つの国による対応や対策では克服できないと問題点の指摘があった。
各地からの報告
福島より「住民は表面的には落ち着いている様に見えるが仕事、家族の分断、避難すべきか否かという葛藤を抱え将来が見えない生活を送っている。たからこそ第2の原発事故を起こさせないことが大事。福島を忘れないで欲しい」。
宮城からは「仙台で金曜デモ行っている。第一次産業が復興しないと東北は潰れてしまう。健康被害を心配している人たちへ生産者も被害者だと言うことを分かって欲しい」との報告があった。
青森からは4.9集会の歴史的経過の説明と運動の風化への懸念、しかし六ヶ所で事故が起これば東北全体に放射能広がる。地道に運動を続けたいとの決意が表明された。
新潟からは柏崎刈羽原発の再稼動について、新潟方式として原発の安全に関する技術委員会に再稼動の慎重な学者を入れる取り組みの報告がされた。
愛媛からは想定される東南海地震で伊方原発の危険性と伊方原発差し止め訴訟で松山地裁に提訴しており、合わせて署名を活動を行っている報告があった。
また会場の福島からの参加者より「原発を止めるには政治を変えるしかない。政治が経済界と結びついている。マスコミは原発是非についての政治家の考えをを報道すべき」との意見があつた。
大阪の参加者からは子どもたちに配られる「放射能に関する副読本の100mSvの記述は問題であり、撤回運動や冊子の作成などに取り組んでいる」との報告があった。