2012年、分科会報告、原水禁大会
【67大会・報告】広島第2分科会/脱原子力2―学習交流編「地震と原発そして再稼働問題」
2012年08月05日
会場:広島市「ワークピア広島」
講師:長澤啓行大阪府立大学名誉教授
まず最初にに講師から、地震や津波は地球が生きている限り発生する現象であり、決して避けられない自然現象であることが地震のメカニズムから理論的に説明され、特に内陸地殻内地震(活断層)のときに発生する短周期地震動は固有周期が一致する原子力発電所にとって非常に危険な地震動であり、安全性を考えれば活断層上にある原発は決して動かすべきでないことが、いろいろなデータを示すことで説明されました。
続いて現地報告として石川から志賀原発の再稼働に向けた動きと阻止のとりくみと決意表明、新潟からは柏崎・刈場原発の07年中越沖地震以降の行政の動向や再稼働に向けた動き、それを阻止するためのとりくみと決意表明、島根からは島根原発30キロ圏内の住民アンケートの結果報告と再稼働に向けた動き、それを阻止するためのとりくみと決意表明、北海道からは泊原発の再稼働問題と幌延の深地層研究所計画に関する報告、さようなら原発1000万人アクション北海道のとりくみ報告、最後に茨城からJCO事故報告、東海第2原発ハイロアクションのとりくみ報告の5か所からの報告がありました。
その後の質疑・討論では、脱原発後の炉内燃料や使用済み核燃料プールはどうするのかという質問があり、今の技術でプルトニウムを安全に保存する技術はなく、地下に埋めたとしても1000年後には容器もとけ、地中に漏れ出すため、後世につけを残すだけとなる。結局監視できる場所で監視を続けるしかない。従ってこれ以上生み出さないこと、すなわち、脱原発しかないとの回答がありました。
また脱原発を考えたときに廃炉後の対応や最終処分方法を思うと、脱原発運動に踏み切れないといった意見や、原発を抱える地元では、脱原発後の原子力発電関連従事者の生活の問題を考えると一概に脱原発とは言えないといった前向きな悩みがだされました。
今回この場で、これが正解といったものは出せないかもしれませんが、こうした率直な現地の声が出たのはいいことだと感じました。これまでは建前の発言がほとんどで、議論が進んでいなかったのではと思いました。
ただ、そのことを議論していては進展しないので、まずは、脱原発かこのまま推進かを決め、それから、具体的な問題点について解決策を議論すればいいのではないでしょうか。原発がある限り、原発関連従事者の労働者被曝は続くことは忘れないでほしいと思います。脱原発後は国策として脱原発に踏み切ったドイツが参考になるのではないでしょうか。
最後に地元では様々な悩みもあると思うけれど、まず脱原発。それから地元の悩みについてみんなで議論をしていくことを確認して分科会を終了しました。