原水禁大会被爆67周年原水禁世界大会

メッセージfromヒロシマ2012報告

2012年08月05日

会場に集まってくれた参加者は、20都道府県、北海道から九州まで、全国各地から集まりました。「楽しさを通して、平和を学ぶ」というテーマのイベントではありますが、子どもたちはアピールしたいことがあって参加してくれています。その強い気持ちを表現するのが第三セクション「全国・世界のお友だちと平和を語ろう」です。

12:50 オープニング
広島初中高級学校の皆さんの朝鮮舞踊

13:04 第(1)セクション 全国のお友だちと仲良くなろう
実行委員の紹介
被爆地から―平和のメッセージを届けよう―」
踊りと歌を覚えよう ! 「つけまつける」レッスン

13:21 第(2)セクション 考えよう、表現しよう、平和の思い
平和のメッセージを書こう ! 表現しよう !

13:50 第(3)セクション 世界のお友だちと平和を語ろう
全国のお友だちからの一言メッセージ
海外のお友だちより(フィリピン、 韓国のお友だちからのメッセージ)

14:14 第(4)セクション 広島を学んで、そしてお友だちをつくろう
広島のお友だちの平和への取り組みを紹介~
「被爆樹木を訪ねて」、 「チロヌップのきつね」、 「ヒロシマからフクシマへ」
全国のお友だちと「つけまつける」を歌って踊ろう!

14:35 エンディング 平和はみんなの心から ―2012夏休み―
みんなで書いた平和のメッセージが???になって、 登場するぜぇ~ ! ワイルドだろ~ !
世界への平和メッセージを発信 !

「メッセージfromヒロシマ」とは

 戦後も67年となり、被爆体験を聞くことも、原爆が落とされたことに対して考えることも、そもそも平和とはなんなのかを考える機会自体が、日常では少なくなってきたのではないでしょうか。「メッセージfromヒロシマ」は、ただ過ぎてしまう日常の中で、「平和とはなんなのか」について、考えてもらうきっかけとなるものです。
 1人で考えると難しくてわからないことでも、メッセージfromヒロシマに参加することを通して、みんなといること、楽しい空間を共有できることで、そのすべてを享受できるのは、「平和だから」ということに気がつくはずです。
 今年の実行委員数は、例年以上となりました。広島の高校生が中心となって実行委員会が構成されていますが、今年は三重県の高校生が8人、広島県の尾道地区からは中学生が5人、東京からは大学生が3人、参加してくれました。さらに、今年から新設された静岡県の平和大使も実行委員を務めてくれました。もちろん、昨年実行委員として参加してくれたOB、OGの参加もあり、リハーサルの時点からとても良い雰囲気となり、笑いの絶えない練習となりました。

「メッセージfromヒロシマ2012」スタート!

イベントのスタートは、「朝鮮初中高級学校舞踊部」による朝鮮舞踊です。「民族の誇り」を表わす華麗なダンスに、鮮やかな衣装。誰もが目を奪われる光景に、実行委員たちさえも、例外なく魅了されていました。初参加の子どもたちにとっては、ステージで踊る舞姫たちの姿に、ただただ心奪われたのではないでしょうか。舞踊部を代表してリュウ・ミクさんが、「差別に負けず、民族の伝統と誇りを持ってしっかりと生きていきます」と強い思いのメッセージを届けてくれました。

スタート前は会場を駆け回りはしゃいでいた子や、午前中のフィールドワークで疲れていた子も、オープニングで心地よい緊張感に包まれ、そこで、総合司会の登場となりました。イベント進行途中、暑い中でも着ぐるみを着るなど、体を張って全力で努めてくれたのは、白髪美咲さんと山道真子さんです。二人とも、初参加ながら、総合司会という大役を最後までしっかり努めてくれました。続けて登場したのは、志が高く、平和への確固とした思いを持っている司会担当の田中美穂さんです。そして昨年、マイケル・ジャクソンのダンスで会場を熱狂させた中学生の日上温大くんも、高校生に負けじと司会を務めてくれました。また、会場には、早朝から屋外で様々な平和行事に参加しているものの、まだまだ元気の有り余っている小学生、中学生を中心とした400人の子どもたちが集まってくれました。

第一セクション

ここでは、実行委員の紹介から始まります。実行委員全体を代表して、高校2、3年生がステージに上がって、一言ずつ挨拶をしていきました。その中でも、実行委員長で広島県の高校生、宮武茉里佳さんからは「今日はたくさん来てくれてありがとうございます。一日よろしくお願いします」、三重県の高校生、三谷葉二郎くんからは「みなさんと一緒に楽しく平和について考えていければと思っています」とメッセージの発表がありました。また、当日のビデオ撮影、パソコン操作、写真撮影までもを、実行委員が行っており、「自分たちが主体で作り上げる」というイベント開始当初のスタイルを今も踏襲しています。

実行委員の紹介が終わったところで、ダンスの練習となります。曲はきゃりーぱみゅぱみゅの「つけまつける」です。選曲理由は、CMで使われていて知名度があることや、ノリの良いリズムであることなどです。ダンスの振り付けも、すぐに覚えられるように、原曲の振り付けを簡単にしています。実は、前日の練習時にも変更を加え、子どもたちが覚えきってしまっても飽きずに踊れるように、工夫しました。ダンスの振り付けは、毎年とても頭を悩ませる問題で、難しすぎれば覚えきれない、簡単すぎても踊り飽きてしまうという問題があります。また、これまでは踊りの指導担当の実行委員がいましたが、今年は、総合司会者、司会者が中心になり、舞台上で見本を見せるように練習が行われました。その甲斐あってか、進行もスムーズにいきました。さすが、子どもたちは覚えが早いというべきか、すぐに踊れるようになりました。もちろん振り付けの中には、手をつなぐ部分もあり、恥ずかしがって中々手をつなげない子もいましたが、曲に合わせて体を動かすことで、緊張も解け、笑顔で踊るようになっていました。

第二セクション

リラックスした後は、平和の思いを表現する時間です。花形シートに平和のメッセージを書き、そのシートを張り合わせて、大きなモニュメントを作っていくという恒例のコーナーです。毎年、書き始めてからは早いものの、取りかかるまでに時間のかかる子を見かけます。心の中に平和への思いを漠然と抱いていても、言葉に表したり、文字に表わそうとするとなかなか難しいものです。そこで、実行委員から先に、子どもたちへ、ヒントとなるような言葉を届けました。発表してくれたのは、広島県の村上愛さん、吉野可奈さん、三重県の濱中ひかるさん、西村祐里那さんです。実行委員が原爆資料館に行って感じたこと、身の回りの人権問題、東日本大震災のことなど、「相手を思いやるこころ」を持てば、世界は良い方向にまわるはずだというメッセージです。メッセージを聞いて、子どもたちは、書きたいことが頭の中で膨らんでいったのではないかと思います。そこで、東京から参加してくれた実行委員の、五味彩耶さん、加藤あゆみさん、上野絵里香さんが花の形をしたシートへのメッセージの書き込み方の説明をしてくれました。司会の合図で、子どもたちは思い思いに作業に入りました。一枚目を書き終わった子は、二枚目へと書きすすめていきます。
同じグループのお友だちが、次に取りかかれば、負けじと他の子も新しいシートをほしがります。文字をひたすら書き込んでいったもの、イラストで表現されたもの、色を多用して表現したものなど、多種多様のメッセージシートが実行委員が掲げる大きなシートに張り込まれていきました。なんと、子どもたちが作業をしている間も、司会者はビデオ撮影担当の実行委員とともに、会場内を巡り、逐一子どもたちの様子をステージ横の巨大スクリーンを通して、伝えてくれました。インタビューの内容は多岐にわたり、将来の夢を語り合う場面もありました。こうしていると、たっぷり取った作業時間もあっという間に過ぎてしまいます。張り込んだシートは、ここでいったん舞台裏に運び、巨大モニュメントを作るべく結束作業に入ります。しかし、そのことはまだ、子どもたちには秘密にしてあります。

第三セクション

トップバッターは北海道代表、NSさん。「みなさんと交流し、帰ったら、仲間に平和について伝えたいと思います」と、堂々とした発表でした。

東北ブロックからは、山形県を代表してSCさん、AMさん。「核兵器は私たちが平和な時代を生きていく中で、最もいらないものだと思います。この核兵器、戦争のない時代が来ることを、私たちの未来のために願います」と、声をそろえての発表でした。



関東ブロックからは、まず神奈川県代表のUEさん。「いまでも原爆のもたらした放射能により、病気になり、多くの人たちが苦しんでいることが判りました」と発表するとともに、福島原発事故の影響で苦しんでいる人たちを心配する内容のメッセージでした。

続いて、神奈川生活クラブ生協のIRさん。「原爆は何万人も殺す大変な核兵器です。だから、僕は怖いと思っています。戦争もしたくありません」と授業中に知ったという原爆に対する素直な気持ちを表現しています。

原爆ドームを見学した東京三多摩代表のMMさん。「世界中の一人ひとりが、人の気持ちを理解し、そして原爆の恐ろしさを伝えていくべきだと思います」原爆ドームは見た者に、戦争の恐ろしさを感じさせ、平和のために努力することを決意させます。

埼玉県を代表して、YKさんは、福島原発事故と67年前の戦争を重ねて考えるようになり、今回、広島へ来たそうです。「広島で何が起きたのか、この目で見てみたいと思った。被爆者の思いをつないでいかなくてはならない」と強く宣言しました。

横断幕を用意してくれた群馬県からは、TSさんが代表としてのアピール。「平和祈念資料館や原爆ドームを見て、核兵器の恐ろしさを改めて知ることが出来ました」とは、まさに百聞は一見に如かず。フィールドワークの効果がしっかり表れています。。

北信越ブロックから長野県代表、OTさん。「核兵器を世界からなくすために、僕たちにも出来ることがあるはずです。核のない平和な世の中にするために力を合わせて頑張っていきましょう」と会場への強い呼びかけ。

近畿・東海ブロックからは三重県を代表して、TFさん。「私が平和にするために出来ることは、武力による解決をしないということです。そして、それを伝えることです」身近な人に伝えることから始めることは、確かな一歩へとつながります。

四国・九州ブロックからは長崎県高校生一万人署名のYHさん。「被爆者の方は高齢化していて、私たちが生の声を聞ける最後の世代と言われています。私たち若い世代が平和の大切さを伝えていくことが大切だと思っています」炎天下での署名活動に負けない力強さを感じさせるパフォーマンスでした。

最後を締めてくれたのは、広島県のYSくん、TKくんです。「僕たちは戦争しないことを選びたい。原子力発電所を使わないことを選びたい。誰かにやってもらうのではなく、大人に決めてもらうのではなく、僕たち子どもが自分たちで考え行動したいです」そして、会場にいる子どもたちに一緒に行動することを呼びかけました。今回もアピールメッセージはどれも熱いものばかりでした。

続いて海外のお友だちからのメッセージです。フィリピンからは、ロマーノ・クリス・G・ベーラーくん、韓国からは、ジュ・ソンミンくん、イ・ユンジさん、ベ・ゴンヒくんの登場です。
まずはロマーノくんが、「弁護士になって、困っている人たちを助けるのが僕の夢です。日本にいる間、多くのことを経験したい」と将来に向けて頑張っていくと宣言。なんと、通訳は、長崎県高校生一万人署名の参加者です。

続いて、韓国からのトップバッター、ジュ・ソンミンくんが流暢な日本語で挨拶。「今、日本への留学準備をしていて、日本に関心があります。今ここで、この活動をしながらたくさん学び、感じたいと思います。」続いて、イ・ユンジさんは「私の祖父は日本人です。日本の歴史と文化についてたくさん教えてくれました。その影響で、日本の文化などに興味を持っていました」ということで、日韓交流にも積極的だということがわかりました。最後に、ベ・ゴンヒくんが「こんなに意味のあるところに参加できてうれしいです」と締めてくれました。会場の参加者は、国が違っても、暮らしが違っても平和への思いは同じだと、改めて感じたのではないでしょうか。

~海外のお友だち紹介~

《韓国からのお友だち》
ジュ・ソンミンくん(高校3年生)
イ・ユンジさん(高校3年生)
ベ・ゴンヒくん(高校1年生)

《フィリピンからのお友だち》
ロマーノ・クリス・G・ベーラーくん(15歳)

メッセージ from ヒロシマ 2012

「私が原爆資料館に行ったのは、小学校4年生のときでした。そこで目にした、皮膚が垂れ下がった被爆者の人形を忘れることができません。幼い私は、怖くなり逃げ出しそうになりましたが、ガイドの人に『ちゃんと見なさい』と言われ見ました。これが原爆が引き起こした悲劇だと実感しました。」
67年前ヒロシマとナガサキに落とされた、たった二発の原子爆弾は、一瞬にして数十万人の大人や子どもの命を奪い、今なお苦しめ続けています。

「私のおじいちゃんは沖縄戦で戦死をし、おばあちゃんはたいへんな思いで生きてきました。そんな苦労を知らない私たちは、多くの命を奪った戦争を、二度と繰り返さないために、平和についてもっと多くのことを学んでいくべきだと思います。」 沖縄戦では約5カ月間戦闘が続き、住民の多くが戦闘に巻き込まれ、20万人以上の命が奪われました。
広島、長崎、沖縄だけではありません。東京、名古屋、大阪をはじめ、日本各地でも空襲によってたくさんの命が犠牲となりました。また、日本は戦争によって大きな被害を受けただけではなく、日本はアジアの国々に大きな被害を与えたことも、同時に学ばなければなりません。

原爆は人間だけではなく、すべての動物や植物も、爆風と熱線、そして放射能によって焼きつくしました。「75年間は草木も生えないだろう」と言われていた広島。しかし、黒く焼け焦げた樹木は、ボロボロの姿から再び新しい芽を出したのです。その傷つきながらも力強く生きる姿は、被爆者を励まし勇気づけました。広島市内の小学校や中学校にはたくさんの被爆樹木があり、子どもたちに原爆の悲惨さを今も伝えています。

昨年の3月11日、「東日本大震災」をきっかけに福島第一原子力発電所でたいへんな事故が起こりました。たくさんの放射能がまき散らされ、今も多くの人が避難生活を送っています。日本は原爆によって被災した国として、原爆がどれほど恐いものかはよく知っていたはずなのに、電気をつくるために必要だからと言って、たくさんの原子力発電所をつくりました。私たちは「核と人類は共存できない」という被爆者のことばをもう一度しっかり考えなければなりません。

戦争の恐ろしさが、時間とともに忘れられてきています。いつの時代も、どこで暮らしていても、平和を望む気持ちは同じです。それなのに、どうして戦争が起きるのか、平和な世界をつくるためにはどうしたらいいのか。被爆者の体験した苦しみや悲しみ、戦争や核兵器の悲惨さを学び伝えていきましょう。
自分にできることから行動していくことで、少しずつでも戦争や核兵器を減らしていくことができるはずです。戦争を知る努力をしましょう。いじめや差別をなくしましょう。みんなが笑顔でくらせる社会をつくりましょう。
「もう戦争はいらない! 核兵器もいらない!」

2012年8月5日

子どものひろば 「メッセージ from ヒロシマ 2012」 参加者一同

※ このメッセージは、イベントのエンディングにおいて、首相官邸や核保有国の代表宛にメールにて送信しています。

子どもの広場全体のスケジュール 2012年8月5日(日)

8:00~8:30 子どもの慰霊祭
8:40~10:20 フィールドワーク
10:25~10:40 ダイイン
10:40~11:40 被爆電車
10:40~11:40 被爆のお話を聞こう
12:50~14:50 『メッセ-ジ from ヒロシマ2011』
15:00~16:00 15:00~16:00 マイ灯ろう作り

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