2010年、分科会報告、原水禁大会
【報告】広島第2分科会/平和と核軍縮2―交流・討論編―東北アジアの非核化と日本の安全保障政策
2010年08月05日
会場:広島市・ホテルチューリッヒ東方
参加者:81人(うち、初参加者は16人)
●イ・テホさん(韓国・参与連帯副議長)
いかに、東北アジア非核地帯を達成するかを話したい。
この構想は、韓国、北朝鮮、日本がいかなる核の抑止にも頼らないことが基本である。
北朝鮮は、核兵器を開発しないという約束を反故にしていると非難されている。北朝鮮が核再処理工場を建設したり、核実験をしたりする以前から、韓国には1,000発以上の核兵器が配備されていた。アメリカの核の傘に入っていることを認識しなければならない。北朝鮮の核を論じるのであれば、日本も韓国もアメリカの傘からの離脱が必要だ。
どうすれば良いか。韓国、日本、アメリカは、東北アジア非核地帯へ向けて、‘先制攻撃‘ではなく“先制平和行動”を率先して行わなければならない。
・核保有国は、先制核攻撃の破棄。
・核の抑止に依存しないで、核の傘政策からの離脱。
・軍事費の削減も平行して行うこと。
・韓国・日本は核兵器を容易につくることができる核燃料再処理工場をもたない
・「哨戒艦沈没事件」を東北アジアの「核抑止力」に使われてはいけない。平和的解決が大切だ。
この後、高知、千葉、大阪などから質問あり。
●前田哲男さん(軍事評論家)/「次の安保50年」をどう生きるか?
先制平和行動をわれわれがいかに具体化していくかが大切。
Ⅰ.この1年
「安保密約」解明への小さな一歩
(1)外務省調査報告書が公表され(3月)、「核持ち込み密約」
(2)外交文書の「30年ルール」が実現し(7月)、知る権利に一定の前進
(3)とはいえ、「米軍基地再編」の強力化していること(自衛隊も巻き込み)や「普天間問題」が解決されない。
(4)核の抑止力から抜け出せない。
「普天間基地問題」をめぐる動き
(1)5月27日、日米「2プラス2」「県内移設容認」の共同声明が採択された。
(2)鳩山内閣が社民党・福島瑞穂環境相を罷免し「辺野古周辺案」受け入れ閣議決定。(5月28日)
(3)しかし、沖縄県民の「基地反対気運」はますます高まっている。第2の「島ぐるみ」闘争。
(4)菅政権になって報道もされなくなった。
民主党政権の変質
(1)社民党の連立離脱
(2)菅首相の現状肯定主義
(3)参院選挙後の政権の姿勢
国際社会の動き
(1)オバマ大統領「プラハ演説」後の足踏み。「核なき世界」と「アフガニスタン」との落差。
(2)国際人道法の進展=「クラスター爆弾禁止条例」調印。次は劣化ウラン弾」の禁止へ
(3)経済危機と過剰軍備への疑問=地球温暖化への危機感。「環境安全保障」に共通の関心
Ⅱ.「県内移設に逆戻り」、だが「普天間問題」は終わらない
(1)沖縄の占領状態を終了させる
(2)EUの「共通の安全保障」に学ぶ-先制平和行動
Ⅲ.では、「次の50年」の座標軸をどこに立てるのか?
(1)「安全の保障の考え方」が変わりつつある。「地球環境」「経済のグローバル化」「食料」など、「敵のない脅威」、「地球ぐるみの安全」が世界的な課題。
(2)東北アジアの非核化はEUが実現しようとしている。(75年ヘルシンキ宣言以降)=先制平和行動を
この後、徳島、千葉、広島などから質問あり。
●神奈川の報告
神奈川の松沢成文知事は、日米安保条約締結50周年式典を原子力空母の艦船上でやろうとしている。安保条約があるがゆえに基地があり、それを祝うことは許されない。
この秋は、熱い闘いとなるので協力を要請する。
発言するイ・テホさん(左側)
「次の安保50年」を提起する前田哲男さん